防大の生活はホグワーツ魔法学校に近い

防大は全寮制であり、学校の敷地内に居住区、講堂、実験室、グラウンド、食堂、浴場、医務室、売店、射撃場や訓練場もあります。柵と塀が校内に張り巡らされており、一般大学よりも「駐屯地」や「基地」に近い構成になっています。校内には戦車や戦闘機、魚雷なども展示されていて、学生寮には小銃などを保管する武器庫なども存在し、ミリタリー要素で溢れています。

防大の学生は1800名程度であり、1学年は400〜500人ほどです。全学年を1〜4大隊という編成に分けて寮が分類されます。ハリー・ポッターでたとえるなら、ホグワーツ魔法学校の「グリフィンドール」「スリザリン」などの寮に所属している生徒それぞれが、自他の寮に誇りとライバル心を持っているように、防大も大隊ごとに伝統や文化がやや異なり、他大隊にはライバル心を持っている学生が多いです。

筋肉と同期の団結で困難を乗り越える

私が在籍していたときは、ざっとこんな感じの特徴がありました。

・「お祭り大好き1大隊」(男子学生が多く、ノリのよい荒くれ者が多い)
・「お掃除大好き2大隊」(海上自衛隊の文化が強く、清掃や整理整頓に厳しい)
・「楽勝
(※2)3大隊」(全体的に規則がゆるく、生活が厳しくないと言われている)
・「パレード4大隊」(観閲式パレード
(※3)に対する情熱が強い)

ぱやぱやくん『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)

ホグワーツ魔法学校では困難に直面すると魔法と友情で乗り越えますが、防大では筋肉と同期の団結で乗り越えます。そのため、MP(マッスルポイント)が重要になります(MPがなくなると腕立て伏せができなくなります)。

各大隊には1〜4中隊があり、各中隊はフロアごとに分類され、100人規模の学生がいます。これが防大における生活単位であり、全員の顔と名前が一致する最大の単位でもあります。

※1防大は横須賀市小原台にあるため、関係者は防大のことを「小原台」と呼称することが多い。防大卒に「小原台はどうだった?」と聞くと、間違いなく「関係者か?」と思われる。なお、住所は走水。
※2防大生は「楽勝」という言葉をよく使う。楽勝とは「ゆるい、簡単」という意味。
※3正装をし、小銃を持って行うパレード訓練。入校式や開校記念祭などで見ることができる。学生からは不人気。

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