45歳から59歳までの現役世代が最も加害行動をしがち

年齢

高齢者と犯罪者率の関連は、この調査結果でも世代ごとで傾向の違いが見られた。カスハラ加害の経験があると答えた人の平均年齢は46.4歳。年代ごとのカスハラ加害行動の有無を見てみると、加害行動の割合が多く見られたのは、45歳から59歳までの年代だった。人生の節目をいくつか経験して自分の未来が固定的に見える年代でもあるし、世に言う「働き盛り」の年代でもある。会社や家庭でも不平不満やストレスが多いと思われる年代だから、納得感を覚えた読者もいるかもしれない。

職業

加害行動の割合が多かったのは「会社員(その他)」「経営者・役員」「自営業」の人たちだった。「働いている人」が接客応対者にカスハラをしやすいのも、見方によっては違和感はないかもしれない。理不尽な労働環境によって常識が歪み、八つ当たりというかたちでカスハラが連鎖していることは十分に考えられる。

写真=iStock.com/RRice1981
※写真はイメージです

「お金持ちは余裕があるからカスハラしない」わけではない

世帯年収

もしかすると「お金持ちは懐にも心にも余裕がある」とか「お金持ちはカスハラが起きるようなお店には行かない」というイメージを持っている読者もいるかもしれない。

だが、今回の分析結果では、世帯年収が1000万円以上になるとカスハラ加害経験の割合が増えることがわかった。さらなる調査・分析は必要だが「経済状態の悪さがカスハラを増長させる」というような見方は、必ずしも正しくない可能性もある。

攻撃性の4タイプのうちの一つ、「影響・強制」では相手よりも地位や財力が優位である人の傾向があったように、優位性とつながる世帯年収はカスハラのしやすさと関連性があってもなんらおかしくはない。生活の心配はない人でも、心の余裕もモラルも欠乏している人たちは残念ながら少なくないようだ。

この調査の回答者のうち被害に遭った人は男性57.2%、女性32.4%の割合になっている。年齢は30〜40代が多く、直接対面で加害を受けた役職は主任クラスや店長が多い。

中高年層の加害者は、店舗内で直接的にカスハラの加害行動をとる割合が高まる。また、店舗内では他のお客がいるなかで30〜40代の主任、店長クラスに対して加害がおこなわれている。