アメリカの寿司ビジネスで大儲けした旧統一教会系企業

壺によって、多くの人の人生が奪われていく。玉壺が次々に人を襲うなかで、それに重なって見えてしまうわけです。しかも、壺から魚が出て人々を襲います。「魚まで出るんかい!」と思わず、アニメを見て叫びましたが、ますます教団との戦いを想起させるものとなりました。

旧統一教会は多くの関連企業を持っています。

私は1987年~1996年まで旧統一教会信者でした。当時よく見せられた映像で今も鮮明に覚えているものがあります。それは、教団がアラスカのコディアクという場所に所有する水産工場を映したもの。「これがアラスカの精神」などと説明して、文鮮明教祖が働く信者らを激励するシーンや、川で魚釣りをしたり海にマグロを釣りいったりするシーンがありました。

実は旧統一教会系企業は、アメリカでの寿司ビジネス、鮮魚ビジネスを成功させています。水産ビジネスにおける、アメリカ国内に占める割合はかなりのものだといわれています。何より、このビジネスの原資になったものこそ、霊感商法で集められた資金だったと言われています。

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日本で壺をたくさん売り、信者から集めた献金などを元手に水産ビジネスで成功する。さらに、正体(教団名)を隠した伝道で信者にした者たちをアメリカに向かわせる。

要は、被害に遭った人たちの上に成り立っているのが、寿司と鮮魚ビジネスだと考えています。ですから、『鬼滅の刃』で鬼の壺から、金魚のような、マグロのような魚が次々に出てきて人々を襲ったのを見て、なんともいえない思いで、声をあげてしまったわけです。

鬼を退治する剣士らを「鬼滅隊」の最高位は「柱」と呼ばれる人たちです。今回はその一人である時透無一郎が、最終的に玉壺を退治し、安堵あんどしました。

話の中に頻繁に出てくる言葉がありました。巡り巡ってわが身によい巡りが返ってくるという意味の「情けは人のためならず」です。その意味を、無一郎が身をもって深く知ることで、戦うシーンは圧巻でした。

実はカルト教団の中に身を置いた経験から、私にとっても教団を辞めるにあたり、この「情けは人のためならず」はとても大きな意味を持つものでした。

心のなかに深く埋め込まれた教義、マインドコントロールを解く上で、家族、親族、元信者、カルト問題に詳しい専門家の多くのサポートや助言を受けました。彼らにとっては、当時の私の存在など、取るに足らない者であったにもかかわらず、彼らは自分たちの貴重な時間を割いて、見返りなど求めることなく対応してくれました。

そうした一つひとつの思いが、脱会に向けての大きな力となったわけです。そこには、当然、家族や親族が衣食住すべてを含めて、尽くしてくれた土台もあります。多くの人が私自身に「情け」をかけてくれました。

考えてみれば、私に対して助言をしてくれた元信者や脱会した信者を持つ家族らもまた、同じように、誰かからの助言と思いを受けて、前に進むことができたのではないかと思います。それゆえに、こうしたサポートを受けた私もまた別な人たちへの希望となるように力を尽くす。こうしたものがつながっていくことこそが、カルトによる被害をなくすための次の世代への希望となると信じています。