「自民党が頭を下げるのはおかしい」

今回の自公対立でも仲介の切り札と目された菅氏だが、5月末に佐藤氏と接触したところ、高飛車に出られて事態の改善にはつながらず、冷却期間を置くことになった。

公明党・創価学会に人脈がある自民党の二階俊博・元幹事長は6月6日、自公対立の現状について、記者団に「自民党がいつも頭を下げるのはおかしい。お互いに持ちつ持たれつの関係を持続して頑張ることが自民党と公明党の責任だ」と述べ、公明党を牽制するとともに、両党の関係改善を促した。

結果的に、岸田首相は15日、通常国会中の衆院解散見送りを表明したが、公明党との選挙協力をめぐるギクシャクが衆院解散戦略に若干の影響が出たといってもいいだろう。公明党は、統一地方選から半年は間を空けてほしいなどと、一貫して早期解散に反対だった。山口那津男代表は、14日のラジオ日本の番組で、「自民党には公明党との選挙協力で得られている議席が相当数ある」と強調し、首相を牽制していたほどだ。

公明は基本的に自民候補を推薦

自公の選挙協力に関する動きは、6月21日の国会会期末が近づき、衆院早期解散が取りざたされ始めると、ようやく表に出てきた。自民党から呼びかけ、26日に自公幹事長会談を開き、選挙協力の基本合意文書を交わす方向になったのである。

TBSテレビの16日の報道によると、合意文書案は、次期衆院選で「東京以外の選挙区についての選挙協力を推進し、与党全体として最大限の議席獲得を目指す」としている。さらに、自民党は、東京29区以外の10の選挙区で公明党の候補者を推薦する一方、公明党は、候補者を擁立しない選挙区で基本的に自民党の候補者を推薦する、と記されている。

内容は、5月25日に石井氏が茂木氏に提示した5項目の公明党の方針をそっくり踏襲したシロモノで、自公の亀裂を東京以外に波及させないことを確認する意味しかない。

次期衆院選では、自公両党は東京で多少議席が減っても、与党としての勝算がある。東京の29区以外の選挙区でも、公明党票は直ちに自民党から離れにくいと高をくくったこともあって、このまま衆院選に突っ込もうという政治判断なのだろう。

選挙で公明党の組織票が欲しい自民党、政権に参加することで影響力を得たい公明党。その双方に実利をもたらす連立政権は、今後も小競り合いが多少あっても、何事もなかったかのように続いていくのではないか。

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