ゲームの中毒性は自己管理能力を高める

一つだけ指摘したい注意点はデジタル技術の嗜癖しへき性の高さです。

世界保健機関(WHO)が公開している国際疾病しっぺい分類(ICD)は、病気や死因の判定基準や名称を統一するための指針で、多くの臨床現場で採用されています。これが32年ぶりに刷新され、2018年には第11版となりました。

ここでは「ゲーム障害」が新たな診断カテゴリーとして収載されます。ゲームに夢中になるあまり睡眠や食事などの日常の活動がおろそかになる状態を、正式に「病気」と認定し、治療の対象としようというわけです。

それほどゲーム依存症が世界的に問題となっているのです。

しかし嗜癖性の強さにも表裏があります。

たとえば、ゲームの中毒性が自己管理能力を促進することがしばしば指摘されます。ゲームにはまった経験から、自分の危うさに気づき、「一日60分まで」などといった制約を自ら設けるなどして時間管理や健康管理に気を遣うようになります。いわば反動効果です。かくいう私も学生時代にゲームに出会い、自省を通じて自制心が養われた口です。

血液型は生活にどれくらい影響を与えているのか

自分の遺伝子を調べるのが世界的なブームです。病気の罹患りかん率だけでなく、体質や才能もわかります。オバマ大統領が2015年に約250億円を投じて設立した「プレシジョン医療イニシアチブ」はこの流れに沿った国家計画です。たとえば、同じ糖尿病であっても、その実体は個人によって異なります。そこでゲノム情報から最適な治療法を選択しようというわけです。

ゲノム情報で注意を要する点は、プライバシー保護とデータセキュリティーです。遺伝子の情報は、いわば究極の個人情報です。悪意ある商売や差別の対象となってはなりません。

一方、これまで日本では、遺伝情報を日常的に扱ってきています。血液型がそれです。B型やAB型が不当な扱いをうける、いわゆる「血液型差別」を問題視する向きも一部にありますが、それほど一般的ではありません。おそらく血液型の影響は強くないと考える人が多いのでしょう。しかしそうとは限りません。

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