「盛り上げを期待されない人」を狙おう

こうした場をあたためるやりとりでは、「聴きポジ」の観察やレシーブ力がものを言います。先の例では、「聴きポジ」である堀井が「セーターを着ている」という相手の情報をキャッチし、投げ返しているのがわかるでしょうか。そこから、話し手が会話をふくらませていくというわけです。

堀井美香『聴きポジのススメ』(徳間書店)

このように、「聴きポジ」は方向を決めてボールをトスする役割を担っているのです。そしてこれはやや余談ですが、「聴きポジ」が板についてくると、場が盛り上がらないときに焦らなくなります。「自分がなんとかしなきゃ」と、余計なこと(そして無理なこと)を考えなくなるからです。身勝手な言い方ですが……無責任になれるんですね。

そして責任を負っていないと肩の力が抜けてリラックスできますから、「そういえば、この前の出張どうでした?」など自分が気になる質問をさらりと振れるようになります。がんばって絞り出した質問ではなく、心から聴いてみたいことが。

場を取り繕う必要はありません。それは「聴きポジ」の仕事ではありませんし、かえって場はしらけてしまうことが多いです。

場を素直に楽しみつつ、周りから「盛り上げ」を期待されない人。そんなポジションを虎視眈々たんたんと狙いましょう。

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