聴き上手な人とそうでない人の違いは何か。元TBSアナウンサーの堀井美香さんは「自分が1割しか話さなくても、コメント次第で会話の主導権を握ることができる。相手から『何かを教えてもらう』という意識で話を聞くと聴き上手になれる」という――。

※本稿は、堀井美香『聴きポジのススメ』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

ソファに座って笑顔で話をする男女
写真=iStock.com/RRice1981
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聴き上手は「話す割合が1割」

だれかと会話する場面がやってきたら、「話し手のポジション」ではなく「聴き手のポジション」を取りましょう。私はそれを「聴きポジ」と呼んでいます。私は常にこの「聴きポジ」を狙っていて、イメージとしては「相手9割、自分1割」のバランスで会話したいと思っています。

多くの人が無意識にしていることですが、人間が集まると自然と「ポジション」が決まっていきます。2人なら「話す」と「聴く」、複数人なら「場を回す」「話題を提供する」「聴く」といったように。

ですから会話の場についたらまず、「聴きポジ」を確保。「場の中心にならない」「質問をしたり話を振ったりする」と、しっかりマインドセットしてください。

「聴きポジ」に入ると、会話の主導権を握れます。相槌や質問、受けのコメントで、会話自体をコントロールできるからです。

受け手である「聴きポジ」の人間がどうやって会話をコントロールするのだろう、と思われるかもしれません。でも、どんなになにげない会話でも、じつは「聴き手」が担う役割はとても大きいのです。

話の方向性は聴き手次第

たとえば、先輩と話しているとき、次のように言われたとします。

「昨日、○○社のAさんとふたりで飲みに行ったんだけどね、今日から新入社員が部署に配属されるんだって緊張していたよ」

ここから抽出できるトピックは、3つですね。

①「Aさんとふたりで飲みに行った」
②「新入社員の配属」
③「仕事での緊張」

この3つから、聴き手がどこにフォーカスして、展開していくかで、ゲームブックのように会話は変化していきます。

①「Aさんと飲みに行くんですか? 楽しそうですね。よく行くんですか?」
②「もうそんな季節なんですね。今年はどんな新入社員が入ったか聞いてますか?」
③「Aさんでも新人さん相手に緊張されるんですね。先輩も新人さんに緊張したりするんですか?」

話題を振ったのは先輩のほうでも、そこからどの方向に話をふくらませるかは、聴き手が握っているということがわかるでしょうか。