美容院の「お天気雑談」はどう対応すべきか
会話は、盛り上がらなくて構いません。
もちろん始終お通夜のような雰囲気はさすがにつらいですが、盛り上がりでいえば「そこそこ」で充分です。とっておきのネタや驚き、爆笑がなくても、まったく構いません。
淡々と、和やかに気持ちよく過ごせれば、百点満点。そしてその「気持ちよさ」は「聴きポジ」に託されているのです。
たとえば美容院で、次のような会話を経験したことはないでしょうか。
堀井「そうですよね。あ、しかもセーター着てらっしゃるから……」
美容師「そうなんです。朝晩は冷えるから、むずかしいですよね。昨日も帰り道、寒くて家までずっと走ってきました。」
こうした「お天気雑談」は、「定型文」として否定的な意見を耳にすることが少なくありません。「適当に話しかけないでほしい」とか「話す意味がない」とか。
でも、そういうふうに斜に構えるのは、もったいないと思います。
大切なのは、相手や会話を評価せず、素直な気持ちで接することです。
2人の関係を育むために、必ずしも意味のある会話をしなければならないわけではありません。記憶に残るような会話ができなくても、「なんだかいい人だったな」「楽しかったな」で充分なのです。
場を盛り上げるよりいい空気の会話をつくる
ときどき、会うたびにとっておきのネタを持ってくる人、飲み会などでその人を中心に大盛り上がりする人はいます。その話術がうらやましくなるかもしれませんが、彼らは「レアキャラ」。おもしろいしありがたい存在ではあるけれど、目指す必要はありません。だって私たちは一般人なのですから、「すべらない話」なんて持っていなくて当たり前。
私自身、おもしろい話は一切できない人間だと自覚していますが、それでも――いえ、だからこそ「聴きポジ」を選び、円滑に周りと「うまくやって」こられたのだと思います。「お天気雑談」も、しょっちゅうします。それで損をしたことはありません。いい空気の会話をつくるプロになる、という戦略もあるのです。