腰が引けていた公取委がついに動いた
今回、公取はいい仕事をしたといえる。3月30日の公取命令において、電事連に対して「カルテルにつながるような各種会合」をやめるように求めた。過去、電力自由化にことあるごとに抵抗する電力業界に対し、公取は腰が引けていた。今回は強気が見える。これに電事連はどう答えるのかが注目だ。
また、公取は監視機関である「電力・ガス取引監視等委員会」に大手電力の不正行為を報告した。電取委はこれまで、電力市場のおかしな価格変動について調査を求められていたが、大きな不正を突き止められなかった。今後は不正を監視できるだけの調査を行う、調査能力を上げることが求められる。
経産省と電力会社、二人三脚の限界
今後もっとも注目されるのは経済産業省がどう動くかだ。二人三脚で自由化を進めてきた電力大手があからさまに自由化を妨害したことで、経産省はメンツをつぶされた。
経産省は電力業界に「激怒した」と伝えられるが、激怒の後はどうするのか。電力大手にきちんとした処分を与え、途上である電力自由化を前進させることができるのか。
日本の大手電力は巨大な会社だが、さらに各社が一枚岩で行動し、やりたいことをほぼやってきた。しかし、今の世界の潮流は、電事連が消極的だった電力市場の自由化を進めることと、再エネを増やすことだ。
もはや時代遅れとなった電力会社の「護送船団」は解体すべきだが、彼らは必死に抵抗するだろう。この局面で、経産省が今回の公取のような「いい仕事」をできるかどうかが、日本のエネルギー問題の鍵を握っていると言えよう。