「子だくさんを喜ぶ文化」をどう育てるか
47都道府県のうち、出生率トップの沖縄で1.83、10位の鳥取でも1.52で、最下位の東京は1.12というのは、想像以上の差だと思う。また、大都市部・東日本で低く、地方・西日本で高い傾向があることは、これまで説明してきた通りだ。
それ以外の各種指標との相関性はなかなか取りづらいが、初婚年齢が低いこと、子どもの教育にお金をかける傾向が強いことなどは子だくさんにつながっている。一方、意外なことに、夫が家事を手伝うとか子育てに参加するといったことがむしろ少ないほど、子だくさんであって、少なくとも「イクメン」が少子化克服の決め手というのは間違いだ。
西日本の高さの理由を考えると、祖父母や兄弟姉妹などを含めた家族や地域社会が子どもの成長を楽しみにし、助け合うことが東日本より多いように思う。もちろん、子育て支援なども大事だが、子だくさんを喜びとする文化が国においても、地域においてもとても大事だということだろう。
子どもを増やせる西日本にヒトとモノを移す
私は、欧米を中心に認知が進む同性婚などやLGBTに対して、日本でも理解を増進させ、関係者が生きやすくすることは、絶対に必要だと思う。
ただ、人類や国家、民族、地域社会を継続させるためにも、男女のカップルで子どもをつくり、父母を中心とした家族が育てるということが基本パターンであるということに変わりはないし、そのことの価値を再認識するべきだ。このことについては別の機会に論じたいし、近刊の『民族と国家の5000年史 文明の盛衰と戦略的思考がわかる』(扶桑社)を読んでほしい。
また、日本全体として少子化を食い止めるためには、何が出生率の高低に影響するのかを正しく分析するだけでなく、出生率が高い地域へ、産業と人口の移動を促す政策を検討することがなによりも重要だ。東京一極集中を解消する地方分散策と、少子化対策の一石二鳥になるわけで、こんな効率的な政策はないからだ。