「20代のうちに結婚・子育て」への回帰を
そもそも、日本の少子化対策がうまくいかない最大の理由は、男女共同参画政策をもって少子化対策だと検証なく代替させているからだ。これらはそれぞれ大事だが、まったく別の問題であって、政治的意図で歪めるのはよくない。
私は男女とも早めに結婚し、体力があり、また、祖父母も若いうちに複数の子どもを作り、子育てが一段落したのちに、もっとも職業人として力を発揮できる30~40代で頑張るようなライフサイクルが理想的だと思うし、それを推奨、支援することでこそ子だくさんが多い社会にできると思っている。
現在、特に女性において顕著なように、30歳を超えて結婚して、子育てでキャリアを中断させられるようなサイクルでは、複数の子を持つのは難しいし、子どもを持つ女性のキャリア形成の支障にもなっている。日本全体でも20代における結婚・子育てへの回帰が適切だが、地域においても、工夫できる分野だと思う。
離婚後も共同で子育てできる制度も有効
ちなみに、現在、世界でもっとも活躍している女性のうち、ナンシー・ペロシ前米国下院議長は、23歳で結婚して5人の子どもを育てた後、47歳で下院議員に当選。女性として初めて欧州委員会の委員長になったウルズラ・フォン・デア・ライエンは、27歳で結婚して7人の子どもを産んで、42歳でドイツ・ゼーンデ市会議員として政界入りしている。
あるいは、夫の海外赴任に同行していた女性たちがその間に学んだり現地で働いたりした経験を生かして帰国後、事業や仕事を始めて成功していることが多いのは、私自身の海外勤務時代の同僚たちの夫人たちを見ても間違いない。その一人が、NPO法人「国境なき子どもたち」の専務で、守谷絢子(元高円宮)さんの夫である守谷慧氏の母親(故人)だった。
さらに、離婚後の共同親権制度の導入など、両方の親や家族が共同して子育てができることも少子化に歯止めをかけることに有効なのではないかと考える。