「限界に、限界はない」
起用する側はもちろんだが、選手からしても「ここで出場しなくては」というチャンスや瀬戸際の場面がある。そこを踏まえ、池田は「痛みを抱えている選手の対応についても、あらためてオシムさんから学びました。本当に勉強させてもらった」と言って頭を垂れた。
「限界に、限界はない。限界を超えれば、次の限界があらわれる」
オシムのこの言葉を、池田は大切にしている。次々に出現する「限界」に挑み続けた結果、見たことのない景色に出会えたのだ。林のゴール然り、チームの躍進然り。また、チーム全体のありようを俯瞰で見ると、さまざまな革新が起きていた。
まず、選手が「休みたい」と言わなくなった。健康管理に注意するようになった。練習以外は体を休め、きちんと食事を摂った。飲みに行くこともなくなり、サッカー中心の生活を送るようになった。医学的な面をみると、内科疾患までぐっと減った。風邪や腹痛はもちろんのこと、体調不良がほとんどなくなった。
「オシムさんのサッカーは楽しかった。試合を観ていて、ワクワクしました。自分たちが負けても、楽しかったです」
負けても、楽しい。
池田はさまざまな学びとともに、スポーツの本質をも満喫したのだった。