人間のほか、ほとんどの動物には月経がない

ちなみに、月経(生理的発情に関係なく周期的に排卵し、子宮内膜が剥離・脱落するシステム)があるのは、人間のほかに、一部の霊長類や翼手類に限られる。ほとんどの動物には、月経というものがない。

写真=iStock.com/sefa ozel
※写真はイメージです

たとえばネコ科動物が選択した交尾排卵のように、交尾した瞬間に排卵すれば受精率は上がるのではないか。また、人間も季節性に排卵すれば、毎月あの鬱陶うっとおしいものに悩まされることもないのでは……。

田島木綿子『クジラの歌を聴け』(山と溪谷社)

それでも人間は毎月、定期的に排卵する。ヒトをはじめとする一部の動物に月経が備わった理由は諸説あるものの、遺伝的に問題のある受精卵が着床した場合、子宮内膜を脱落させて、淘汰できるしくみとして進化したという説が最も有力のようである。

古代ギリシャの医師であったヒポクラテスは、月経とは、健康を維持するために体内の有害物質を排出する現象と説いていたという。現在では、月経血中に多数の炎症性物質(サイトカインなど)が確認されていることから、月経は子宮及びその周辺部に繰り返しもたらされる生理的な炎症反応と理解されている。

月経とは、より優れた受精卵を着床させるよう進化し適応した結果であり、ホルモンの分泌をはじめとする女性の体を健康に保つためにも不可欠なしくみといえよう。

関連記事
中2で「初めてのセックスはどんな状況か」を考えさせる…日本と全然違うカナダの性教育
6時間睡眠を2週間続けると集中力は酩酊状態レベルに…「電車で居眠りをする人は危険」といえる理由
「脳科学はマスコミが作り出した幻」一大"脳ブーム"を生み出したベストセラー本を精神医療の権威が完全論破
「祖父母は孫に高いランドセルを買い与えてはいけない」中高年の"見栄支出"が本人と子孫を滅ぼす
「結婚しろと急かされて結婚する人はいない」成人した子どもに親が言ってはいけない"2つのNGワード"