寮生70人が寮内で生活していたが…

この4日前、引っ越し先が見つからない寮生が7日間の廃寮延期を求めた。大学側は廃寮の時期こそ変えなかったものの、退去の1週間延期を認めた。3月31日以降に寮に残る学生は、4月7日までに退去することを約束する確約書に記入をさせられた。

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7日間の退去延期を認められた寮生。確約書に応じたことを示す札を首から下げることを大学から求められた。

寮で暮らしていた学生は約70人。多くの学生がこの日までに寮を去る中、1週間残った学生は17人だ。その17人が寮内にいる中で、廃寮の作業は事務的に、淡々と進められた。

18時過ぎに職員が「廃寮作業が完了しました」と寮内放送をする。「学生寮は令和5年3月31日をもって廃寮しました」と大きく書かれた看板が、玄関前に置かれた。

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廃寮の看板を設置する大学職員

寮生で構成する「泉学寮廃寮問題ワーキングループ」のメンバーで、金沢大学4回生の冨樫洋乃輔さんは、1週間延期の確約書に記入し、4月7日に寮を出た。民間アパートは1年契約に応じないケースが多いうえ、高額な契約料や家賃を払うことも難しい。寮を支援していた地域の人が持つ古い一軒家で、元寮生8人と暮らすことになった。冨樫さんは大学の姿勢を次のように批判した。

「大学側の態度で寮生みんなが怒りを感じているのは、廃寮の決定も、その後の対応も全てが一方的で、私たちの話をほとんど聞いてくれなかったことです。4月7日に寮を出て行くときも、職員は学生と言葉を交わそうとしませんでした。担当は学生支援課ですが、学生支援といいながら、学生の生活実態に向き合おうとする姿勢は全く感じられません」

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冨樫洋乃輔さん(3月31日撮影)