「総論的な知識がない」という根本的な問題

少し例えで考えてみよう。

あなたが投資を始めたいと思ったとしよう(投資に関わる職業ではないと仮定する)。

まずどのような行動を取るだろうか。いきなりネットで証券口座を開設し、株を買ってみる方もいるかもしれないが、多くの方が、銀行に行く、ネットで調べる、書籍を読む、など「情報収集」を選択するのではないだろうか。

その結果、多くの方が余剰資金で債券や株式、投資信託などを始める。ある程度基本的なことを学べば値動きや動向が把握でき、かつ大損をしても大きなリスクを抱えないような資金から開始すると思う。

この状況で、投資用不動産やデリバティブ・先物、さらにはFX・仮想通貨といったものにいきなり手を出す方は多くないだろう。預金と債券・株式の違いならまだしも、複雑なものを理解するためには相応の知識が必要になる。しかし基本的な知識を得ず、ブログなどの「これが儲かる!」といった話に飛びついてしまい、騙されてしまう人も決して少なくはない。

この問題は、「総論的知識がない」ということが根底にある。

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「何を調べればいいのかわからない」

金融というのは非常に複雑、かつ多くの社会動向や法規制・税制も関連し、それが正解かどうかは実際に投資をして値動きをみなければ分からない。基本的な商品の性質、金利や配当の仕組みなどが理解できれば「怪しいハナシ」もある程度見分けられるようになるかもしれない。

しかし基礎知識がないままに断片的な知識で判断すると、専門家から見れば「怪しいハナシ」でも、「良いハナシ」に見えてしまい、騙されるのである。このような「怪しいハナシ」を見分けるためには、そこに出てくる言葉の意味を理解し、かつ全体像を把握した上で適切な知識を得ることが必要になる。

まさに投資は、多くの初心者にとって、「何を知ればいいのか、それすら分からない」世界なのである。様々なワードが飛び交うが、「この話は正しいのか」を判断するために、「何を調べれば(=知れば)いいのか」が分からない。基礎知識が不足しているから、何かを調べようとしても、「どういう検索ワードで調べればいいのか」が分からないのである。