大豆のアミノ酸スコアは鶏卵と同程度

必要量を最も満たさないアミノ酸を「制限アミノ酸」と呼び、多くの植物性タンパク質ではリジン(Lys)が制限アミノ酸となります。必須アミノ酸の一つであるリジンが欠けているため、植物タンパク質は動物タンパク質に比べて質が落ちるということになります。

乳タンパク質、鶏卵タンパク質のアミノ酸スコアは満点の100ですが、小麦タンパク質は制限アミノ酸がリジンで、そのスコアは37と低値になります。その中にあって大豆タンパク質は乳、鶏卵と同じくアミノ酸スコアが100と評価されており、これが畑の肉と呼ばれるゆえんです。

大豆は高タンパク質であると同時に、機能性成分としてイソフラボンを多く含みます。食品には五大栄養素が含まれますが、そこに含まれない非栄養素の多くは食品の色、香り、味のもととなり、三次機能の多くはこれら非栄養素からもたらされます。

最も身近な例はお茶に含まれるカテキンです。カテキンはイソフラボンと同じくフラボノイド類の一種で、植物の青色の原因物質であるアントシアニンもフラボノイドの一つです。フラボノイドは植物が生産する二次代謝産物の一つで、炭素6個から成るベンゼン環2個を3個の炭素がつなぐ構造の化合物です(C6-C3-C6構造)(図表3)。

フラボノイド類とは(出所=『健康寿命をのばす食べ物の科学』)p.147

ポリフェノールには抗酸化作用がある

フラボノイドの二つのベンゼン環に水酸基(OH基)が一つ付加されたものがフェノール、二つ以上付加されたものがポリフェノールで、これには抗酸化作用があります。つまり、フラボノイドはポリフェノールの一部ということです。

ポリフェノールの代表例は玉ねぎなどに豊富に含まれるケルセチンです。赤ブドウの果皮に含まれ、寿命延伸効果があるとして一時期脚光を浴びたレスベラトロールは、二つのベンゼン環を炭素2個でつなぐスチルベノイド骨格を持っているため、OH基を複数持つポリフェノールではありますがフラボノイドではありません。

コーヒーに含まれるカフェ酸もフラボノイドではありませんが、ポリフェノールの一つに数えられます。フラボノイド類はそれぞれフラボノイド骨格が異なり、そこに付加されるOH基の数や位置で別の化合物となります。植物の体内には必ず、OH基を介して糖が結合した化合物(配糖体と呼ぶ)が存在します。

糖の種類もさまざまであるため無限の組み合わせが生じ、フラボノイド類は7000種類を超えると言われています。糖を結合していない化合物をアグリコンと呼びます。植物体内でアグリコンは脂溶性に富むことから果皮、茎、種などに局在します。一方、配糖体は水溶性であるため植物体内を移動することが可能で、果肉、豆胚乳などに豊富に含まれます。