Z世代の若者は「本当の友情」を求めている
「Z世代」と呼ばれる10代から20代前半までの若者の間で今、SNSの使い方に変化が起きています。それはひとことでいえば、「広く浅い人間関係」から「深く狭い友人づくり」という変化です。具体的にどんなことなのか。以下の4個のキーワードにまとめたので、順を追って説明しましょう。
①友達推し事……推しの対象を友達にして、イタい推し活を気軽に楽しみたい
友達トレカ、本人在席の誕生会、オタク拒否ポーズ
②間接バースデーPR……自分の誕生日を間接的にSNSでアピールしたい
自分が生まれた日にNASAが撮影した天体写真、花個紋、バースデーカラー
③田舎映え……田舎でしかできない映えを友達と撮影し、仲間意識を共有したい
傘ライト、月ライト、ハートサングラス、スイーツ男子
④いつメンSNS……限られた友人だけで使うSNSを通じて仲間意識を共有したい
Snapchatなど
友達であることを確認する「友達推し事」
①「友達推し事(おしごと)」とは、身近な友達をアイドルのように応援することです。具体的には3つの方法が挙げられます。
一つ目は「友達トレカ」。自分のスマホケースに友達のプリクラや余った証明写真を入れることが高校生の間で流行しました。これまでは好きなアイドルの写真を入れることが多かったですが、友達に置き換わったわけです。
二つ目は「本人在席の誕生会」です。これは、好きなアイドルの誕生日を推し活仲間と祝う「本人不在の誕生会」がもとになっています。ラブホテルやデザイナーズホテルの一室で、バルーンやアイドルの写真を飾って誕生日を祝う、推し活の定番イベントです。
それをまねて、推しのアイドルのように友達の写真を部屋に飾り、友達を呼んで祝うのが「本人在席の誕生会」です。SNSにはこうした誕生会の様子が頻繁に投稿されるようになりました。
三つ目は、SNSで流行した「オタク拒否ポーズ」です。これは一人がグッドマーク、もう一人がハートマークを手で作るポーズです。一緒に手でハートマークを作りたかったファンを、アイドルが拒否した画像がSNS上で出回り、流行しました。もともとは拒否の意味で使われていましたが、これが「友情の証」として広まりました。