浮いたお金は人に投資

では山岡家の経費はどうなっているのでしょうか。

販管費率は22年度で71.5%です。とても低いわけではありませんが、利益を出すには十分な販管費に抑えています。理由は地代家賃の安さ。売り上げ比で5.6%です。幸楽苑はその倍以上の12.7%の地代家賃です。店舗出店やリニューアルも絞りに絞って出していますので減価償却も抑えられています。

広告宣伝費も1%以下でほとんどかかっていないレベルです。一方で人件費には投資しており売り上げ構成比で37.3%、労働分配率(粗利に占める人件費割合)は50.7%です。幸楽苑の人件費率は山岡家と同程度ですが、分配率は48.5%。

つまり山岡家の経営は、人に投資をしてそれ以外の経費をできるだけ抑えることで、一定以上の利益を出す経営体を作っているということです。

実際に食べたラーメンの味は?

では、その従業員たちはどのように働いているのか。

瑞穂町の店内で昼間働いていたスタッフは全員女性でした。20~30代の女性5名で厨房とホールをまわしていました。1組当たり40分前後の滞留時間でどんどん回転していきます。

およそ30席・60人程度入る店で、駐車場は満杯。行列はしていませんでしたが常にお客さんが入れ替わっている状況が続いていました。しかも100%男性客。ブルーカラー系の客層で、ほぼ常連さん。75%のお客がリピーター(山岡家調べ)というのも納得できました。

筆者撮影
濃厚豚骨が病みつきになるスープ

同店では麺を茹でる時間は7分間と決められています。ここにも同店の作りたいラーメンの品質へのこだわりが見られます。都心であれば時間を気にするお客さんが多く、待っていられないということもあります。

これも、都心ほど時短を気にする人がいない郊外立地にこだわっている理由かもしれません。

私は山岡家定番の味噌ネギラーメン(税込み810円)と特製ギョーザ(税込み340円)をいただきましたが、山岡家特有のすこし濃い目ですが飲みやすいスープと、たっぷりのネギとこだわりチャーシューの味わいに加えて、おなじみパリパリ餃子を楽しみました。山岡家のこの2品さえあれば、一日何も食べなくてもいいくらい満足度の高い逸品です。