ジョブ型雇用の現実を知らない人が多い

私は3社の外資企業に在籍し、採用する立場でもありましたが、20代後半以降は新卒より中途採用のほうが、年収が高くなることが多かったといえます。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

限られた新卒時の就職活動の期間で、希望の会社から内定をもらうことを目指してしまうのは仕方ありません。しかし、もう少し長い視点でキャリアを見つめることができれば、初任給は単なる選択要素の1つでしかないことがわかります。

日本企業でもジョブ型雇用を採用するトレンドが続いています。しかし、高い成果を出した人には高い報酬が与えられるというジョブ型雇用の「当たり前」に、20代後半になってから気づく人が多いというのが実情です。

初任給の高さと働き方の自由度を求めて外資に入社したとしても、そこでは自己学習して成果を出していかないと容易に同期に差をつけられ、後輩にも追い抜かれてしまうのです。

広大なオープンワールドへ

昔のようにキャリアの階段をひたすら上っていく時代は終わりました。

自分の意志でスキルを磨き続け、実績と経験を積み重ねていかないと、社内外で声をかけてもらうことはできません。

私は29歳で外資に初めて転職し、多くのことを学びました。その後、30代・40代で転職と起業を経験して、着実に経験を積み重ね、個人ではなくチームで協働することの大切さを実感しています。

現在51歳の私が、「29歳の自分」にアドバイスできるとしたら、こう伝えます。

“一次的な給与の高さに目を奪われることなく、「自己学習を継続できる場所はどこか」「自分の能力をどこで発揮すべきか」を、広大なオープンワールドで考えながら動きなさい”

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