有権者が民主主義を守るためにすべきこと
このような事態を避けられなかった以上、もはや現在の政治家だけに、民主主義の価値を守ることを丸投げしているわけにはいかない。有権者自身が民主主義の価値を守る動きに加わらなければならない。
心に留めるべきことは2つあると思う。一つは「独善的な政権政党を作らない」ことだ。どの政党であれ、時の政権政党の権力行使のありようを常に厳しく監視し、多数におぼれて国会などで独善的な振る舞いをすれば「次の選挙では確実に政権から転落する」という緊張感を与え続けることだ。
アウトサイダー系政治家はいらない
もう一つは「二度とガーシー氏のような、民主主義の価値を毀損する議員を作らない」ことだ。
メディアはこれまで、何かにつけて有権者に対し「政治はつまらない」「国会議員は働いていない」という印象を植え付けてきた。そして、そんな空気を1人でぶち壊してくれそうな「アウトサイダー系」の政治家に過剰にスポットライトを当てて、盛り上げてきた。
だが実際はどうだろう。ガーシー氏は「暴露系」を売りにして意気揚々と国会に乗り込む構えを見せたが、結果として何もできなかった。一方で前述したように、国会では今日も「ごく普通の国会議員たちが地道に日常の仕事を積み重ねて」多くのことを明らかにしている。
もういい加減、メディアに踊らされて「アウトサイダー系」の政治家に「政治を変えてくれる!」などと過大な期待をすることはやめるべき時なのではないか。
一度、だまされたと思って国会を見てほしい。真面目にこの社会を少しでも良い方向に進めようとしている議員の姿が、たとえ少なくとも、必ず目に入るはずだ。そういう議員の中から自らの「推し」を探すことの方が、回り道のようでも政治を変える近道である。筆者はそう信じている。