六本木で逆ナンパされホテルへ

そんな生活をしていれば、変化は目に見えるように起こる。両親は圭太さんに「違法薬物に手を出していないか」と言った。

「徹底的に僕を信じていないんですよ。父に筋トレの話をしたら、『その勢いで勉強もしてくれたら、こんなことにはならなかったのに』と言われました。一方、妹は『兄ちゃん、イケてんじゃん』と言ってくれましたね」

2カ月間、筋トレ沼にはまり、逆ナンパもされた。34歳だという会社員の女性に六本木で声をかけられて、ラブホテルにも行った。

写真=iStock.com/Byrdyak
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「女性としたことはなかったんですが、性交渉は適当にするもんじゃないですね。いじめられているときと同じような気持ちでした。しかも、いじめのときとは違い、素っ裸でしょ。怖かったですね。でも、肌と肌が触れあう感じは、気持ちよかったです」

この性交渉の後、下半身に違和感があり病院に行ったら、クラミジア感染症と言われた。

「ああいうのって、ニオイと症状でわかるみたいですね。すぐに薬を出してくれました。僕、どこまでもついていないんです。

トレーニングを通じて、コミュ障もそれなりに改善していたので、お医者さんに事情を話したら、『それは大変だったね』と言われて、血液検査も行いました。2週間後、検査結果が出るまで本当に怖かったです」

医師は「今回はセーフだったけどHIVだけでなく、淋病や梅毒も多いから気を付けてね」と送り出してくれたという。

「ハンパなく出費と食費がかかる」

結局、筋トレ沼は2カ月で終わった。

「気力が出ない、頭がボーッとする、怒りっぽくなる。そして、関節が痛くなったことや、トレーニングのし過ぎでケガをしたのか、膝が曲がりにくくなるなどがありました。あとはサプリメントの出費と食費がハンパないこと。月3万円以上かかるし、ラーメンやカレー、パスタを我慢するのがつらかった」

圭太さんが通っていたのは、短期集中型のトレーニングジム。その施設の方針なのか、初心者には厳しいメニューを課すのか、チートデー(自分を甘やかし、なんでも食べていい日)を設けていなかった。

「経験豊富なトレーナーというよりは、サプリメントを売りつけられていたような感じですね。ジムの契約期間が終わり、新たなコースをすすめられましたが、『もういいです』と断りました。途中でカモられているのがわかるんですよ」

その後、半年もたたずに体重は戻った。

「最初に食べたのは、大盛りカルボナーラ2皿。たぶん、豆腐の食べ過ぎで、胃袋が大きくなっていたのか、軽く入りました」