購入した食品に異物が入っていたなど、自分が直接の被害者の場合も、今回のスシローの件のように直接の被害者ではない場合も、考え方は同じである。
「自分が被害当事者の場合は、相手側に事実を伝える必要がありますから、電話などをすることは当然です。ただ、あまりに執拗だったり大声をあげ続けたりした場合などは、法的責任を問われることになるかもしれません」(村松弁護士)
被害者が、気づけば加害者側になっているという構図だ。
村松弁護士は、
「少年に対し憤りを感じるのは理解できます。ですが、学校に対して苦情やクレームの電話をかけること自体が新たな迷惑行為になりかねず、やり方によっては法的責任が生じるリスクがあることは知ってほしいと思います」
と、自制を促す。
保護者などから過度なクレームや要求を受けることもある学校の現場。各地の教育委員会は対応マニュアルを作成し、周知を図っている。
少年が通う高校では電話をかけてきた相手に対し、「電話内容を録音する」とのアナウンスを流す対応を取ったようだ。
「この学校がある県の教育委員会は、そのマニュアルの中で『威圧的な態度、大きな声で怒鳴る場合は刑法234条の威力業務妨害に該当する可能性がある』との内容を記しており、対応策として録音を提案すると示しています。今回も、それに沿った対応ではないかと思いますが、こうしたマニュアルを作っておくことはとても有用だと思います」(村松弁護士)
続発する迷惑行為のSNS投稿。当事者が批判されるだけではなく、周囲を巻き添えにしてしまう恐れがあることを、肝に銘じなければならない。
(AERA dot.編集部・國府田英之)