箱根駅伝2023の「シェア争い」はどうなるのか

全日本大学駅伝から箱根駅伝は2カ月間ほどしかないため、他のメーカーに履き替える選手は非常に少ない。そのため箱根駅伝2023でも全日本大学駅伝と同じようなシェア率になることが予想される。正月決戦もナイキを履くランナーが7~8割を占めることになるだろう。

ナイキは今冬の駅伝シーズンに向けて、シューズとアパレルからなる「EKIDEN PACK」コレクションを12月1日より発売中。2003年に発売された「ナイキ メイフライ」というモデルと、日本古来の勝利の象徴でトンボを意味する「あきつ」をインスピレーションしたデザインになっている。なおこのコレクションは基本、日本国内だけの発売だが、面白いことにデザインはナイキジャパンではなく、米国本社が担当しているという。ナイキの本気度がわかるだろう。

新モデルの登場がないため、箱根駅伝出場選手はヴェイパーフライか、前足部にエアが搭載されたアルファフライ2、もしくはアルファフライを着用することになる。なお前回1区で驚異的な区間記録を打ち立てた吉居大和(中大3)はアルファ2を履いて勝負に出る予定だ。

アディダスは全日本大学駅伝でも活躍した葛西潤(創価大4)をはじめ、岸本大紀(青学大4)、平林清澄(國學院大2)が着用しているが、一番の大物はイェゴン・ヴィンセント(東京国際大4)だろう。箱根では1年時に3区、2年時に2区で区間記録を樹立。3年時にナイキからアディダスに履き替えている。今回は3区もしくは4区の出場が濃厚で、4区に出場することになれば3区間で区間記録保持者になるかもしれない。

アシックスは全日本大学駅伝大会の最終8区で区間賞を獲得した花尾恭輔(駒大3)、箱根駅伝予選会で日本人トップを飾った木村暁仁(専修大3)の活躍が期待できる。同社のユニフォームを着る帝京大、専大、山梨学大では履く選手が数人いる見込み。シェアを大きく伸ばすのは難しいが、今回も存在感を発揮するだろう。

箱根駅伝を協賛しているミズノは前年に続き苦戦が予想される。9月下旬、同社初の厚底シューズとなる「WAVE DUEL PRO」を発売。踵部分が厚くない独特なデザインは注目を浴びたが、学生トップランナーの着用者は現状いないようだ。ただし、ミズノは前回4区区間賞の嶋津雄大(創価大4年)が愛用している。嶋津は厚底が合わないため、今後発売予定の非厚底タイプを着用予定。今回もインパクトある走りを見せてくれるだろう。

ミズノ「WAVE DUEL PRO」(ミズノ公式サイトより)

ニューバランスは前回1人だったが、今回は順大と城西大の2校が同社のユニフォームを着用している。少しはシェアを伸ばすかもしれない。

そして一番の注目は……。