アメリカにももちろん累進課税はありますが、日本よりも高所得者の税率は低く抑えられています。相続税もないに等しい。だからこそ一獲千金を目指して世界中から人が集まり、必死に働くのです。そして、それが経済の活力を生んでいるのです。

2022年10月2日の日本経済新聞によると、資産10億ドル(約1400億円)以上の富豪(ビリオネア)が一番多いのはアメリカで719人、2位が中国で440人、3位がインドで161人でした。

それに対して日本は27人で、台湾の45人、韓国の28人を下回るのだそうです。格差などないはずの共産主義国家である中国が世界第2位というのもおかしな話ですが、それより圧倒的に富豪が少ないのが日本なのです。

しかも、他国は相続税廃止・軽減の方向に進んでいるのに対し、日本はむしろ重税化の方向に向かっています。優秀な人材ほど、ますます日本を去っていくことでしょう。

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トップ5%が仕組みを作り、残り95%を動かす

日本のリーダーあるいは資産家と呼ばれる人と話していると、相続税をどう節税しようかという話ばかりしていて愕然とします。貴重な時間やエネルギーをそんなことに費やしてしまうから、この国は発展しないのです。

それに対してアメリカでは、優秀な人は莫大ばくだいな資産を手にすることができます。だからこそ、世界中から天才たちが集まる。

GAFAMをはじめとしたアメリカの優良企業のトップ層には天才の移民が数多くいます。グーグルCEOのサンダー・ピチャイ、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラはインド出身、テスラのイーロン・マスクは南アフリカ出身の移民です。

そうした天才たちが成功すれば儲かり、税金もそこそこで済むアメリカに集まり、切磋琢磨せっさたくますることでさらに業績を上げていく。極論すれば、アメリカという国はそうしたトップ5%が動かしている国なのです。

そして、彼らが作ったシステムで残り95%の人が働くことで、社会が回っていくのです。

「残り95%のアメリカ人」よりも日本人は優秀だが…

その95%のアメリカ人と比べれば、ほとんどの日本人のほうが圧倒的に優れています。そのこともまた、今回アメリカに行って痛切に感じたことです。

私が借りたレンタカー店の受付の女性は、ジュースを飲みポテトチップスを食べながらダラダラと書類を作っていました。スーパーマーケットの有人レジはやたらと遅い。飛行機の荷物係は楽しそうにおしゃべりしながら客の荷物を乱暴に投げ付ける。ホテルのバイキングは10時までだというのに、9時45分の時点でもう何もなくなり、さっさと片付けを始めてしまう。

こんなこともありました。私が借りていたアパートを返却する際、金曜日の午前10時にチェックに来るというので待っていたのに、いつまでたっても現れない。午後3時すぎに電話を入れたのですが、オフィスの営業時間が終わっているらしく、つながらない。土日は当然休み。仕方なく月曜日に改めて電話したところ、「ごめんごめん。今日行くから」と、ほとんど悪びれずに言われたのです。