ある時はレンタカーを返却しようと店舗に行ったところ、返却予定どおりの時間だったにもかかわらず、店舗がすでに閉まっていました。

だからIT化が進み、国全体が豊かになった

仕方なく隣にあったホテルで聞いてみたところ、よくあることらしく、「そこにボックスがあるからカギを入れておいてくれ」とのこと。だったら借りる際に教えておいてくれよという話です。当然のことながら、返却時の車体チェックも何もなし。本当に大丈夫なのかと思ってしまいました。

どれも日本ではあり得ない話です。

だからこそ、ITが発達するのでしょう。レジを打つ人が遅いから、自動レジを導入する。注文をしょっちゅう間違えるから、タッチパネルやスマホでの注文システムが発達する。

もっとも、マクドナルドでは自動化されたシステムがあっても、3回に1回は注文したものと違うものを渡されるのはご愛敬。商品を入れる店員が注文をちゃんと読まないのです。いくらシステムが優れていても、限界はあるのです。

ともあれ、優秀な5%が、大したことのない95%をうまく動かすためのシステムを作ることで、社会も経済も回っていく。だからこそ国全体が豊かになり、95%の人たちもその恩恵を受けることができる。

それがアメリカという国であり、経済成長の原動力でもあるのです。

ニューヨークのスプリングストリートを行き交う人々
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日本を脱出する一流が止まらない

そしてこの上位5%の人たちはもともと優秀なだけでなく、めちゃくちゃ働きます。だから、さらに稼ぐようになり、格差もどんどん広がっていくのです。

スポーツの世界を見ればそれがわかると思います。野球のメジャーリーグの一流選手がもらう金額は、日本のトッププレイヤーの10倍以上。だからこそ世界中から優秀な選手が集まり、日本からも大谷翔平やダルビッシュ有、菊池雄星などの超一流選手がみな、アメリカに行ってしまうのです。

日本の野球はレベルが高いなどと言われますが、年棒では世界の二流リーグと言わざるを得ません。ただし、その中ではみな平等。大谷、ダルビッシュ、菊池など超スーパースターで高給取りが抜けていくのですから、みな平等になるわけです。ある意味、今の日本社会を象徴しているのかもしれません。

確かにアメリカでも格差の拡大は問題視されています。しかし、金持ちが超金持ちになったから格差が広がったのです。日本では金持ちが超金持ちになどなっていないのです。日本の格差は金持ちがより金持ちになったから格差が開いたのではなく、中間層が没落していったから格差が拡大したのです。

アメリカの格差拡大の理由とはまったく違うというのは、格差を研究している研究者のほぼ一致した結論です。