余裕があると、人間は無意識にダラダラとしてしまう

ちなみに、パーキンソンは、イギリスの官僚制における役人の状況を観察し、この法則を導き出しています。

官僚になるくらい、とても優秀な人たち――にもかかわらず、ギリギリまでやらないわけですから、多くの人が「まだ猶予があるし」と動き出さないのも納得でしょう。

実際に、パーキンソンの法則について、米国研究所のブライアンとロックらが実証実験を行っているのですが、とても興味深いものです。

被験者たちが、ある作業を行うにあたって、

①2倍の時間を与える場合
②最小限の時間を与える場合
③自分のペースで行う場合
④できるだけ早く遂行するように指示された場合

①〜④の条件を付けて、それぞれ調べてみたところ、①のように長い時間を与えるケースほど、ゆっくりと作業するようになったそうです。余裕があると、人間は無意識にダラダラとしてしまうというわけです。

こうした先延ばしグセを解消するためにも、課題に対する懸念事項を因数分解してみたり、「宿題を終わらせる」という大きな目標から、「○日までにこの部分は終わらせる」と小さな目標を設定したりすることが大事です。

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自己管理というのは、自分が思っている以上に難しいものです。

体調にしろ、スケジュールにしろ、自分が想定していた方向とは、違う方向に向かうこともあるでしょう。

何度も繰り返しますが、うまくいかないのは、あなたの意志が弱いわけでも、だらしないわけでもありません。

自責の念にかられるよりも、脳の仕組みや習性を理解すれば、小さなところから変わっていくはずです。

具体性に欠ける大きな目標は逆効果に

もう少し、「すぐやる」ための目標設定についてお話ししましょう。

たとえば、SNSなどで友人の投稿を見ると、何かしたくなりますよね。

ただ、いざやろうとすると面倒に思えて、結局何もしない。その気持ち、とってもわかります。

なぜ、やる気が起きないのか?

それは、具体性に欠けているという理由や、現実的にハードルが高いといった理由などにも起因しています。

ですから、まず自分が「漠然と考えているのか」、「明確な目標があるのか」を把握するようにしてください。

具体性に欠ける大きな目標を掲げている場合は、意味がない――どころか、逆効果になってしまうといわれています。

そうならないためにおすすめしたいのが、ニューヨーク大学のエッティンゲンとゴルウィッツアーの「メンタル・コントラスティング」という考え方です。

人間は、「目標達成のための障害を克服できる」とわかれば元気が出るし、克服できないとわかれば元気がなくなる生き物です。

そのため、実現したい未来と現在の状況を比べて、どんな障害があるかを知り、実現可能性が高いものを選んで実現していくことが望ましいです。

わかりやすく言えば、いい未来と悪い未来を思い浮かべて比べてみて、悪い未来にならないようにするにはどうすればいいかを考えるという方法です。