――目標を明確にしながら、常に自分を磨くための努力が大切ですね。
スポーツ選手もそうですが、目標設定を「この程度が限界」と、自分で勝手に決めつけたらそれ以上のブレークスルーは絶対に望めません。会社の成長も同じことです。くどいようですが、社長になって「もっといいクルマをつくろうよ」と言い続けてきたのは、すべてのステークホルダーに迷惑をかけないためです。トヨタが持続的に成長をするためには、さまざまな価値観を持つ多くのユーザーに、時代の変化に合わせて笑顔で受け入れられるだけの商品をつくり続けることしかないと強く感じています。
――今後、世界の自動車産業はどのように変化していくと思いますか。
トヨタが設立される前から70年以上もずっとGM(ゼネラル・モーターズ)が世界一を続けて、世界の自動車産業を引っ張ってきましたが、競争によってトヨタもGMを脅かすぐらいの規模に育ててもらいました(笑)。これから先は、上位7~8社が激しく入れ替わって、やがて自動車産業全体を考えられる度量の広いメーカーがリーダーとして君臨するのではないでしょうか。
自動車はすでに成熟産業と言う人もいますが、そんなことはない。これまでも環境対応車など時代のニーズに合わせてモデルチェンジをしてきたし、今後も成長できる余地はあるはずです。