最優先すべきは「超円高」対策
――5月17日からは日本自動車工業会(自工会)の新会長に就任されますが、政治・経済が混迷する中で、“六重苦”ともいわれる厄介な難題を抱える自動車業界の“新しい顔”としてどんなテーマから取り組むつもりですか。
まず、最優先すべきは「円高対策」です。一時80円台の水準にまで戻ってきた為替の問題にしても、自工会で志賀俊之会長(日産自動車COO)が発言されていたように、「超・超円高」が「超円高」になっただけで、決して円安にはなっていない。私もこのままでは「自動車産業全体が崩壊しかねない」と言い続けています。トヨタとしては、石にかじりついても国内生産300万台を維持する方針に変わりはないですが、1ドル=90~100円レベルで推移してくれればと願いながら、日本のものづくりを守るためにも対策を訴えていくつもりです。
これからの「働き方」についても言及したい。日本の高度成長期は、先輩たちが明日の日本、明日のわが社のために夢と希望を抱いて一生懸命頑張ってこられた。それが豊かな暮らしにも結びついてきました。今後は、「よく働き、よく遊ぶ」といったよりメリハリを持った働き方を大切にしたいと思っています。
※すべて雑誌掲載当時