警察官がお店にいれば抑止効果はあるが…
警察官は職務質問や取調べをすることができる特権を持ち合せています。それは犯罪が起こった後、捜査を行うには非常に有用な権限でしょう。
しかし息をひそめて犯罪が起きる瞬間を現認し、こっそり後を追尾することが必要な万引き捜査には、その特権は向いていないどころかむしろ邪魔になります。万引きGメンには存在感を消して一般のお客さんに溶け込む技術が必要ですが、一般の警察官にはそれができません。警察官がいると目立ちすぎるし、彼らがいるとすぐにバレてしまいます。彼らには万引き犯を捕まえるスキルが必要ないのです。
もちろん警察官がお店にいれば万引きの抑止効果にはなります。しかし彼らは開店から閉店までずっといてくれるわけではありません。逆に目立つ彼らがいなくなったスキに、万引き犯はここがチャンスと犯罪に走ることでしょう。
警察が対応できるのは“犯罪が起きた後”
やはり警察官がもっとも機能するのは犯罪が起こった“事後”なのです。彼らはまだ起きてない犯罪を未然に防ぐことは得意ではありません。以前より少なくなってはいますがDVや幼児虐待、ストーカー犯罪など、何度も警察に相談に行きながらも結局は大きな事件が起こってしまっている事例からもわかることです。
なので万引きを事前に防ぐ、そして容疑者を現行犯で確保する役割は万引きGメンが受け持つことになります。Gメンが容疑者を見つけて、確保して、その後警察に引き渡し、警察はその容疑者を取調べて、処罰する――そうした連携の上で万引き犯の取締まりは成り立っているのです。
警察の大きな力と昨今の対応
Gメンは現行犯でなければ容疑者を確保できませんが、警察官は特権を持っているため怪しいと思えば職務質問を掛け、バッグの中を確認することができます。それは任意とはいえ、大きな特権です。また証拠が固まれば、後日であっても容疑者を逮捕することが可能です。広島県だけでもストーカー・DV事案の相談件数は数千件に上ります。その観点からすると警察が事件を未然に防いでいないという言い方は誤りだといえるでしょう。