記事は、終わらないゼロコロナ政策にあるおびえるユーザーのコメントを取り上げている。「私たちはみなこのバスに乗っている。まだ衝突していないだけだ」

英ガーディアン紙は、27人の命を奪ったこの事故が死者数の面で皮肉な状況を招いたと見る。

「犠牲者の数は、パンデミックが始まってから同州で報告されているコロナ関連死の数である2件をしのぐものだ」と同紙は述べている。

写真=iStock.com/Derek Yung
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広がるデモ…iPhone工場では100人規模の労働者が蜂起

国民を疫病から守るためのロックダウンや検疫だが、行き過ぎたことでかえって人命を奪っている。この異常なゼロコロナの実態を受け、中国各地においてデモや暴動が相次いでいる。

10月13日の朝には、北京市内の大通りをまたぐ陸橋に、ゼロコロナ政策と習近平国家主席の独裁政治を批判する横断幕が掲げられた。民衆への抑圧が徹底する中国において、異例の行為だとして広く報じられている。男性はすぐに当局に拘束されており、その後の行方はわかっていない。

捨て身の抗議に出た男性は、天安門事件の「タンクマン」ならぬ「ブリッジマン」として人々の敬意を集めた。男性に触発され、ゼロコロナ批判のビラやステッカーを密かに展開する草の根運動が勃発。中国全土はもとより、イギリスなど国外でも中国人留学生などにより運動が続いた。

11月に入ると、より熾烈しれつな騒動へと発展する。中国フォックスコン社(鴻海科技集団)が運営する世界最大のiPhone組立工場では、100人規模の暴動が発生した。多数の労働者たちが警官隊と衝突している。

CNNによると、工場内で感染者が発生したことから工場が封鎖。ところが敷地内の衛生管理がずさんであり、健康だった従業員にも感染のおそれが広がった。さらには給料面での不満も重なり、一部従業員が封鎖を破って脱走する騒ぎとなった。

年末商戦に向けiPhoneの生産ペースを維持したいフォックスコンは、破格のボーナスを提示して引き留め工作に出た。しかし、この約束が反故ほごにされているとして暴動に至ったという。

市民の不満は頂点に達している

同じく11月、南部の工業都市・広州では、ゼロコロナ政策の余波で食料を買えなくなった人々が抗議運動を繰り広げている。住民たちはコロナ検査に用いられる仮設テントを破壊し、また、沈静化に駆けつけた機動隊に対して瓶を投げつけ抵抗した。

米ABCニュースが報じた動画によると、ゼロコロナ政策への不満が鬱積うっせきした民衆が、夜の市街に集結。声高に不満を叫びながら当局が設置したバリケードを越え、破壊行為に及んだ。

BBCが掲載した現場写真によると、警察車両が横転し破壊されるほどの騒動になったようだ。少し前から保健当局関係者と市民のあいだで小競り合いが続くようになり、14日になると「広州の大通りに突如として怒りが噴出し、反抗的行動が多発した」という。