中国の副首相が「ゼロコロナ政策の緩和」を示唆
ついに民衆の怒りが、悪名高い中国のゼロコロナ政策に変革をもたらすことになりそうだ。
中国でコロナ対策の指揮を執る孫春蘭副首相は11月30日、北京で開かれた国家衛生健康委員会で、中国のパンデミック対策が「新たな段階と使命」を迎えたとの認識を示した。
孫氏はオミクロン株の弱毒性を認める一方、従来繰り返してきたゼロコロナ政策に関しては一切言及しなかった。この前日には保健当局トップが、コロナ規制の部分的な軌道修正を約束している。
これを受けて主要海外メディアは、中国のゼロコロナ政策が今後大きな転換点を迎えるとの観測を示している。米CNNは12月2日、副首相の発言を「これまでで最も重要なシグナル」だとして報じた。
市民には吉報となりそうだ。中国の徹底的なゼロコロナ政策は、これまでロックダウン(都市封鎖)などで人々の暮らしや経済に多大な負担を強いてきた。英BBCは、中国国営紙『環球時報』の元編集長である胡錫進氏の発言を引き、副首相の姿勢は「大規模なロックダウン(都市封鎖)の撤廃を急いでいる」兆候だと伝えている。
パンデミック以来、民衆は中国政府とのあいだで長い戦いを繰り広げてきた。無理なゼロコロナ政策で人命が奪われるたびに、市民はデモで蜂起している。対する政権は厳しい検閲を導入し、情報の隠蔽によって反政府のうねりを抑え込もうと躍起になってきた。
デモに気圧されるかのように緩和をほのめかした中国政府だが、中国産ワクチンの有効率を鑑みれば、規制解除は非現実的だとの指摘も出ている。ここまで長期化したゼロコロナ政策は、堅持にせよ緩和にせよ厳しい局面に立たされそうだ。
封鎖された高層マンション火災で少なくとも10人死亡
きっかけは1件の火災だった。
新疆ウイグル自治区・ウルムチ市で11月24日、高層住宅の15階から出火。瞬く間に延焼し、当局の公式発表によると少なくとも10人が死亡した。
この悲惨な火災に関し、ゼロコロナ政策による厳重な建物封鎖が消火活動を妨げ、犠牲者を増やしたのではないかとして問題になっている。