暴走事故、2日連続のリコールで高まる「テスラ不信」
テスラの不調が目立つ。EV市場の先端を快走してきた同社だが、リコール騒動に需要減退を受けた値下げ、そして車両の暴走とされる事故など、不祥事が相次いでいる。
リコールの発表は2日連続となっており、テスラの迷走を象徴するかのようだ。11月18日には助手席エアバッグが正常に展開しないおそれがあるとして、約3万台のモデルXのリコールを発表している。ロイターによると株価は3%の下落を記録し、2年来の安値となった。
翌11月19日には、同社は10倍規模のリコールを発表する。テールランプが点灯しない不具合を理由として、全米で32万台をリコールする展開となった。起動処理中にまれに故障を誤検知することで、ランプが断続的に点灯しない不具合が発生することがあるという。
同社はソフトウエア・アップデートで対応可能だとしているが、アメリカだけで32万台に影響する大きな不具合となった。同事象は海外でも報告されており、影響数はさらに膨らむとみられる。
安全性を担保するだけの技術力が不確かなまま、見切り発車で販売に踏み切ったともいえる。
高校生が死亡、映像はツイッターで世界中に拡散
自動車開発に不具合はつきものとも言えるが、テスラの状況はより深刻だ。中国でテスラ車が暴走し、5人が死傷する事態が発生。中核となる自動運転技術に関し、信頼性に疑念が生じている。
11月5日の広東省で、停車を試みようとしたドライバーの意思に反し、モデルYが突如として高速走行を開始。およそ2キロにわたり高速での危険な運転が続いた。暴走車両に巻き込まれた一般市民2人が死亡し、3人が負傷している。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙は、街角の監視カメラが捉えた複数の映像を伝えている。ゆっくりと蛇行しながら路肩を出た車両は、たちまち加速。複数のカメラの画角を瞬時に横切っており、高速道のような速度で一般道を暴走している。
高校生の歩行者および三輪バイクの運転手に衝突し、2人は死亡した。車両は最終的に対向車を避けようとして姿勢を崩し、ドリフトしながら街角のゴミ溜めと店舗に突っ込むことで停止した。この様子を収めた監視カメラの映像は激しく揺れており、相当の衝撃があったことがうかがえる。