年金総額が最大になるタイミングはいつなのか

ここまでは、あくまで「65歳から年金を受け取り始めた場合の総額」と比べて、損益分岐点を考えています。

もう一度、「図表3」を見てください。70歳から受給を開始した場合、「65歳から年金を受け取り始めた場合の総額」は、たしかに82歳で追いつくのですが、68歳から受給を開始した人の総額には達していないことがわかります。

逆に、70歳から受給開始した人が、68歳から受給開始した人の総額に追いつくのは、85歳です。

増田豊『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』(青春出版社)

つまり、70歳受給開始の場合の損益分岐点は「82歳ではなく、85歳にずれる」ということになります。

話がややこしくなってきましたので、一覧表(図表5)に整理しました。

「図表3」と同じく、65歳から年金受給した場合の年金額を「年額100万円」として計算しています。

65歳から受給開始した人は、78歳になると、66歳から受給開始した人に総額で追いつかれます。

このことは年齢がずれるごとに繰り返されます。

年金の受給開始を1年遅らせるごとに、受け取る年金の総額がもっとも多くなるタイミングが、後ろにずれていきます。

つまり、「70歳からの繰り下げ受給をおすすめする」とはいえ、「あくまで指標のひとつ」なのです。

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