「本番に弱い」理由はメンタル以外にもある

武道の世界などでは、よく「心・技・体」という言葉が使われます。

何事も「心(精神力)」「技(技術)」「体(体力)」のバランスが大事だという教えですが、なかでも精神力が非常に重要視されます。

「心が正しく整わなければ、技も体もついてこない」というわけです。

しかし、それは逆で「体・技・心」だと私は考えます。

特に大事なのは「体」です。

私の専門である自律神経は、ここでいう「心」にあたりますが、それだけを先に整えようとしても、なかなか整うものではありません。

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あるお母さんが、ピアノを習っている小学生の娘さんについて、こんな相談を寄せてきました。

「うちの子は、レッスンではとても上手に弾けるのに、発表会になると失敗してしまうのです。もっとメンタル面を強くするにはどうしたらいいでしょうか」

ピアノに限らず、こうした悩みを抱える人は、子どもだけでなく大人にもたくさんいます。

ただ、この子が発表会で失敗してしまうのは、そもそも「技」が完璧でないからかもしれません。

レッスンでうまく弾けていても、まだまだ「技」が未熟で、それが本番で出ているだけなのかもしれません。

それを飛ばして「心」に原因を探っても、問題は解決しません。

それどころか、この子はさらに追い詰められてしまいます。

私は、プロスポーツ選手やオリンピックに出場するようなトップアスリートに、自律神経の整え方を指導しています。

一流の選手になれば、すでに「体」「技」はしっかりできあがっているケースが多いので、ちょっとしたヒントを与えることで「心」も整っていきます。

しかし、まだ「体」や「技」が未熟であれば、そちらを徹底的に鍛えることに力を注いでもらいます。

大事な本番になると実力が出せないのは、体力や技術が足りていないだけかもしれないのです。

この解釈を間違えていると、「心」の状態もいつまでたっても良くなりません。