前頭葉の老化を防ぐ

前頭葉の機能は、①意欲と感情のコントロール②思考のスイッチング③クリエイティビティ。
前頭葉が萎縮して老化すると、これらの機能が低下する。一方でこれらの機能を保つことで、前頭葉の老化自体が抑えられる。

「気が若い人は、見た目も体もいきいきしている」――とは、多くの人が認めるところでしょう。この「気」とは「気持ち」のこと。それはまた「感情」と言い換えることもできますし、さらにそれらは「意欲」や「思考」、それに「創造性(クリエイティビティ)」にもおのずと現れてくるものです。

これら「意欲・感情、思考、クリエイティビティ」を司るのが、脳の「前頭葉」です。したがって、ある人の「意欲・感情、思考、クリエイティビティ」の如何をみればその人の前頭葉の状態もわかるのですが、一方で「意欲・感情、思考、クリエイティビティ」をいかに若い状態に保つか、いかにコントロールするかによって、前頭葉の萎縮、老化を抑えることもできるのです。

しかもそれは決して難しいことではなく、ライフスタイルや日常の習慣、嗜好や性向、また思考法をほんの少し変えるだけ、修正するだけで意外に簡単にできるものなのです。

「脳の領域」とそれぞれの役割分担

人間の脳は、大きく4つの領域に分かれます。

さらに左右の半球に分かれ、右半球は体の左半身、左半球は右半身の運動や感覚をコントロールしているのですが、脳の様々な機能はこれらの領域が、次のようにそれぞれ分担して司っています。

(1)前頭葉 ①前頭極(前頭葉の最も前の部位)……自発性、意欲、気持ちの切り替えスイッチ②運動前野……創造性、意欲、感情のコントロール
(2)側頭葉 側頭連合野……言語理解、形態の認知
(3)頭頂葉 頭頂連合野……計算機能、空間などの認知や構成
(4)後頭葉 視覚領……視覚情報の理解

このように様々な機能が各領域に分担されているため、どの領域に問題が起こるかによって、影響を受ける機能やその態様も異なってきます。

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この「問題」には、脳腫瘍・脳梗塞などの病気、けがの他に、「老化」があります。

例えば視覚情報を司る後頭葉に問題が起きると、視野狭窄や、何かが見えているがそれが何かわからないといった症状が起きます。計算や空間認識を司る頭頂葉に問題が起きると、パズルや計算がおぼつかなくなったり、簡単に道に迷ったりするようになります。

また、同じ失語症でも、前頭葉の問題が原因のときには、「相手の話はわかるけれど自分の言いたいことが言葉にならない」という形(運動性失語)で、側頭葉の問題が原因のときには、「自分の言葉は話せるが、相手の話が理解できない」という形(感覚性失語)で現れます。