意欲を示すだけでも効果あり

では、管理職のキャリアを目指して転職活動をする場合、どのような準備をして選考に臨めばいいのでしょうか。

まず、「管理職にチャレンジしたい」という意向を示すだけでも、アピール効果があります。

実際、管理職経験がない女性が、あるベンチャー企業に応募した際、応募書類に「貴社の経営ボードメンバーを目指したい」と記載しました。すると社長は「そういう気概を持って志望してくれるのはすごくうれしい」と、その女性を採用したのです。

このように、マネジメントへの志向や意欲があることを見せるだけでも、プラス評価につながることがあります。

「育成」「とりまとめ」の経験はプラスになる

とはいえ、やはり意欲だけで通用するわけでもありません。「実際に務まるのだろうか」という懸念を持たれます。そこで、管理職としての実績はなくても、「能力」「素養」があることを伝えるため、次のような経験をアピールしましょう。

●後輩やアルバイトスタッフなどの教育を担った経験
●何らかのプロジェクトを、責任者としてリードした経験(業務改善プロジェクトなど、小規模なものでもOK)
●会議のファシリテーターやモデレーターなどを務めた経験
●社内勉強会や社内イベントの幹事、仕切り役を担った経験

つまり、他者を「導く」、多数の人を「とりまとめる」といった経験にフォーカスするのです。

そして、その役割を担うにあたって、「心がけたこと」「戦略を立てたこと」「工夫したこと」「困難を乗り越えたこと」「成果を挙げたこと」などを整理して、面接で具体的なエピソードを語れるようにしておいてください。

なお、ビジネスでそのような経験がない場合、社外活動での経験を伝えるのも有効です。

例えば、社会人サークルやコミュニティ、ボランティア、PTAの活動などでリーダー的役割を務めた経験なども、アピール材料として活用できます。

マネジャー候補、リーダーのポジションで採用されるケースも

実際の成功事例をご紹介しましょう。

Aさん(40代半ば)は趣味で「ゴスペル」のグループを作り、口コミで70~80人までメンバーを増やし、ゴスペル大会で優勝した経験を持っていました。転職活動時、志望企業でその経験を伝えたところ、「目標に向けて、多くの人の気持ちを一つにまとめる力がある」と期待され、マネジメント経験がないながらもマネジャー候補として採用されました。

また、Bさん(30代後半)は、「高校のバスケット部の監督として、弱小チームをベスト8に入るチームに育てた」という経験を記載しました。職務経歴書とは別にプレゼン資料を作成し、メンバー一人ひとりの強みを引き出した方法、チームビルディングの方法などを伝えたのです。

その能力が評価され、企業でのマネジメント経験は乏しいながら、新規事業の立ち上げを行う事業開発部門のリーダーのポジションで採用されました。

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