「妻が今まで通りの生活をできる」ことを心がけることが重要

その「ほどよい距離感」は夫婦の間にもあって、リタイア前は「夫は朝出勤し、夜帰ってくる」という1日のリズムが、ほどよい距離を成立させていました。どれほど仲のいい夫婦でも、何十年もの間、24時間一緒に仲よくいるというのは、無理な話です。

老後、妻が夫を嫌いになる原因は、夫の衰えや変化が原因ではなく、距離が近づきすぎることが主因です。一緒にいる時間が長くなりすぎるため、「やることなすこと、気に食わない」という状態になるのです。老後も円満な夫婦生活を送りたければ、男性は、「妻が今まで通りの生活をできる」ことを心がけるといいでしょう。

顔を合わせる時間が短くなれば、ほどよい心理的な距離感が生まれ、互いのストレスが軽減します。それが、主人在宅ストレス症候群からの熟年離婚というルートを防ぐ唯一の道です。

以下、「毒夫」にならないためのコツを紹介していきましょう。その目的は、いずれも妻の自由時間を確保することです。定年後、次のようなことをしばらくの間、心がけていると、やがて妻のほうも「前よりは、夫が家にいる暮らし」に慣れてくるようです。

ランチは“自給自足”を心がける

まずは、夫は昼飯くらいは、自分でなんとかしましょう。夫の昼飯を毎日つくらなければならないとなると、妻は日中出かけることもままならなくなり、それが大きなストレス源になります。昔と違って、今はコンビニやスーパーに行けば、和洋中何でもそろう時代です。昼飯、できれば朝飯も、自分で用意して食べるのが、夫婦関係を円満に保つ基本です。

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「共通の趣味」を持つとろくなことにならない

家事を分担する

老後は、夫も家にいる時間が長くなるのですから、もはや家事を妻まかせにする大義名分は存在しません。少なくとも、スキルをあまり必要としない家事は、引き受けるのが、公平というものでしょう。ゴミ捨て、布団干し、浴槽を洗う、洗濯物を取り入れる、自分の部屋の掃除くらいは、スキルがなくてもできる仕事です。今日からでも、始めるといいでしょう。

妻の行く先をあれこれ聞かない

妻の“プライバシー”には干渉しないことです。むろん、つきまとわないこと。

共通の趣味をもとうとしない

若い頃から一緒に楽しんできたのならともかく、老後を迎えてから、「共通の趣味を楽しもう」などと意気込むと、ろくなことにはなりません。たとえば、妻と、同じカルチャーセンターなどに通っていても、同じ時間帯には行かないように工夫したほうがいいくらいです。