ただシャワーを浴びて出かけたいだけなのに…
その一人が、ウィル・スミスの娘であるウィロー・スミスだ。17歳当時、アーチェリーを引く写真をインスタグラムに投稿したところ、未処理の脇に人々の興味が集まってしまった。
米芸能誌の『ピープル』に対して彼女は、あくまで一時的に利便性のために剃らなかったのだと説明している。「なんていうか、剃らないと決意したわけじゃなくて、ただ剃らなかっただけなんです。時間がかかりすぎるんです。さっとシャワーを浴びて、すぐシャワーから出たい」と述べ、都度脇を気にかけることの億劫さを訴えた。
「剃ってあげようか?」と気を遣ったり、レズビアンだというメッセージなのかと深読みしたりする人もいたが、彼女はこうした反応にも辟易していたようだ。大層な事件でもないので、自分の脇のことくらいは放っておいてほしい、という心の声が聞こえてくる。
レッドカーペットの上で真っ赤なドレスの裾からのぞく脇が注目を集めたジュリア・ロバーツも、同様に大きな意味はなかったと説明している。
2018年の『ヴォーグ』誌に対し、フェミニズムを訴えたり美の基準を変えたりしようと意図したわけではなく、ただ自分自身が自分らしくありたかったのだと説明している。「ですので、大仰な声明というわけではなく、この惑星に住む一人の人間としての表現の一部だったのです」
新しい価値観を支えるスポーツブランドも
体毛の自由なあり方が提言されるようになったが、まだ世の中に完全に受け入れられているとは言い難い。批判も予想されるなか、いくつかのブランドは、新しい美しさの価値観を積極的に広めようと動きをみせている。
ナイキは2019年、自然のままの脇を堂々とみせる女性をインスタグラム広告に起用している。これは賛否両論を巻き起こしたようで、メトロ紙は特に女性から、「一言いわせて……不快」など否定的な意見が多く寄せられたと報じている。
一方、ある女性ユーザーは「それ(わき毛)に関する烙印が女性たちに恥ずかしく思わせ、剃るよう圧力をかけている」と述べ、わき毛のあるモデルがもっと増えてもよいとコメント欄で主張した。
2021年になるとアディダスも、わきを処理していない女性モデルをスポーツウェアのインスタ広告に起用した。こちらも相応のバッシングがあったという。
米Yahoo!ライフは、女性が体毛を剃らなくてもスタイリッシュにみえることを示すキャンペーンだったと説明している。嘔吐の絵文字などを使った否定的なコメントを残すユーザーがいる一方で、「モデル、ウェア、メッセージ……すべてにYesだ」など、キャンペーンの趣旨を汲み取り賛意を示すユーザーも多かった。