自分の反応を確かめる「メールエクササイズ」
誰にも後回しにしがちな仕事はあります。後回しにするのは、遠ざけようとしているからにほかなりません。その仕事が「不快」な身体感覚を呼び起こすため、無意識にそこから逃れようとしているのです。先述した苦手な相手からの電話は、その一例です。
逆に、好きな人からメッセージが届いたら、すぐにでも返信したいものですよね。実際にわたしのセミナーでは、メールの受信トレーを見ながら快・不快・ニュートラルかを精査してもらうエクササイズを行っています。受信したメールの差出人と件名を確認していく上で、あなたはどのようなメールに関心が向くでしょうか? また、どのようなメールから目を背けたいと思うでしょうか?
まずは快・不快・ニュートラルの3つのうち、どの反応をしているかに気づいてください。そして、その反応が自分の中でどのような行動を作り出しているかを観察してください。
ここでの注意点は、必ずしも「快」の反応を示さなくても良いということです。快・不快・ニュートラル、そのうちどの反応をしているかに気づくだけでいいのです。その反応を止めようとはしないでください。反応を止めることは、できないのですから。
反応を「手放す」
できることは、どのように反応しているかに気づいた上で、その反応を手放すことです。
快、または不快な反応は、過去の体験から培われた思い込みや先入観に関連しています。先ほどの不快な電話は、以前一緒に仕事をした際にさんざん苦労させられた相手からだったのかもしれません。過去に不快な思いをしたからこそ、その体験が前もってプログラムされ、今度もきっと大変な思いをさせられるに違いないと身構えてしまいます。このような先入観が、不快な反応と結びついているのです。
では、不快な反応に気づいた上で、その不快な反応を生み出している過去のストーリーを手放したらどうなるでしょうか?
ストーリーを手放すことで、感情的な反応が変わってくるかもしれません。そして、そこから生まれる行動と、その行動によって導かれる結果も変わってくるかもしれません。
例えば、苦手な人からきたメールやチャットほど早く返事をする、という新しい選択肢を選んだとしたら、結果はどう変わるでしょうか。後回しにしがちな仕事ほど間髪入れずにこなしていけば、得られる成果がより大きなものとなり、やがて感情的な反応も不快からニュートラルへ、ニュートラルから快へと変貌を遂げるかもしれません。
行動の選択肢を増やし、今までとは違う行動を取ってみることは、より良い結果を生み出せる可能性を秘めています。もちろん、これには時間も練習も必要です。