地域と行政が一体となり高齢者を守る

一方、多くの集合住宅などに見られる鉄筋コンクリート住宅では、コンクリートが熱をため込みやすいという性質があるため、最上階(屋上)に近い階(部屋)ほど、日中の日射の影響を受けて家の中の温度がなかなか下がらないことも指摘されています。

高齢者の方の中には、団地などの集合住宅で、単身で住まれている方もいらっしゃると思いますが、このような方々を熱中症から守るためには、夏場の電気代の援助、ボランティアの方の協力など地域と行政が一体となった取り組みを行うことが有効だと考えます。

熱中症の発症者数を減らすことは、医療従事者の負担軽減にもつながりますので、より直接的なアクションを行政側が考える時代になっているのではないでしょうか。

暑さ対策は前の日の夜から始まっている

熱中症の予防は、基本的に各個人が行うことには変わりはありません。

熱中症は主に深部体温の上昇が関係しますので、脱水、つまり体水分量の減少には日中のみならず睡眠時にも注意を払う必要があります。

また、睡眠は健康的な生活を送るうえで欠くことができない行動ですが、寝ている間にも人は汗をかきます。そのため、睡眠時の余分な水分損失を防ぐことが翌日以降の暑さ対策のスタートになります。

特に、睡眠時の発汗量が多くなる夏場の睡眠を快適にするためには、就寝する部屋の室温上昇対策を日中から行うこと(遮光カーテンやグリーンカーテン等の使用)や就寝の数時間前から冷房を使用し、室温や湿度を睡眠にとって快適にすること(気温25~28℃、湿度40~60%)をおすすめします(※1)

さらに、睡眠には深部体温が低下することが必要ですが、冷房が効いた環境を確保できる場合には、一度入浴をすることで深部体温を上昇させ、その後冷房の効いた部屋で就寝すると、入眠がスムーズになります。最近では冷房とサーキュレーターを併用することも、快適な睡眠環境の構築に有効であると言われています。