上司の一言でやりがいのある仕事を選択

富士ゼロックスの従業員は1万名を少し超える。そのうち女性は13%程度だ。だが、40歳以下でみれば女性の割合は23%、30歳以下では28%に上る。年を追うごとに、女性社員の比率は高まっているのだ。

田辺雅昭●富士ゼロックス 人事部労政グループ労務管理チーム長。1981年入社。営業職の後、89年より10年間、組合専従休職。その後関連会社人事部門への出向等を経て2007年より現職。

「しかも、女性管理職の比率は08年には2.1%と前年の1.5%から急増」(人事部・田辺雅昭)している。

女性社員の既婚率は、92年18%、06年48%、09年46%である。女性社員のほぼ半数は結婚していることになる。

さらに、その中でワーキングマザー率を見ると、92年には11%だったものが、06年には28%、09年には32%へと上昇の一途を辿っている。富士ゼロックスにとって、職場に「働くお母さん」がいることは当たり前のことなのだ。

そうしたワーキングマザーの一人が、プリンティングシステムSB営業部の伊藤久美子だ。伊藤は高いものだと一台8000万円もするような大型プリンターの営業をしている。

00年に白百合女子大学を卒業して入社、最初の2年間はフェアやプロモーションのスタッフを務めた。その後、営業の仕事がしたいとキャリア開発シートに記し、人事部に提出した。それが認められて、02年に営業部門へ転属される。

「大変だと思いましたが、周りに優秀な人がたくさんいて、リードしてくれました。自分の成長が感じられて嬉しかったですね」

誠実さを心がけて営業に取り組んだ伊藤が一度だけ会社で泣いたことがある。提案、サンプルなどの納期を誠実に守ったものの、納期遅れを繰り返すライバルメーカーに受注を取られてしまったのだ。