「同じ年代、近い年収、似た学歴」としか出会えない
こうしたデータを提示するたびに「ウソでしょ? そんなにみんな年収低いの?」と驚かれる東京のキラキラ女性たちがいるのですが、もちろんこれは全国平均なので東京だともう少し高くはなります。しかし、彼女たちがそう思ってしまうのも無理はありません。
社会とは同類縁でできているからです。知り合う人間というものは大体自分や自分の友人と近しい者同士に偏ります。そのため知り合うことのない「異類」の人たちの存在は透明化されてしまいます。とにかく、知り合う縁において「経済環境が同じ」であることはとても重要です。
同じ経済環境にあるからこそ価値観も通じる部分がある。そうして知り合った経済的同類同士が、恋愛や結婚に発展する場合が多いのです。事実、最近の婚姻は同類婚が増えています。同い年くらい、同じような年収、同じような学歴などで結婚するというものですが、それは結果であり、そもそも出会いの環境が同類縁でつくられているからです。
恋人のいる未婚男女は「200万~500万円」に集中している
実際に、2018年内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」の中で、20~40代の未婚男女を対象に、現在恋人がいる男女の自分の年収とパートナーの年収を聞いている項目があります。この調査は貴重で、一般的に未婚男女一括りで年収分布を聞いていることが多く、そうすると恋愛相手のいない未婚男女と混同されてしまい実態が把握できないからです。こうして恋人がいるという、ある意味「恋愛強者」の年収分布が明らかになることはとても重要です。
さて、この分布を見る限り、恋人のいる未婚男女とは、大体200万~500万円の層に集中していて、全体の約半数を占めています。全体のバラつきを見ても男女でそれほど大きな違いはありません。恋人関係にある男女同士がほぼ経済的同類縁で結び付いていることが分かります。そして、案外100万円未満の男性も恋愛をしている層が多いことからも、「金があろうとなかろうと恋愛する強者は恋愛をする」のであることも分かります。
「夫婦二馬力なら問題ない」と考えるかもしれないが…
恋人のいる未婚男女の年収分布を見れば、「たとえ個人の年収が300万円でも同じ年収同士が夫婦になれば、2人合わせて世帯年収が600万円になる。それでなくても現代は夫婦共働きが1177万世帯に対し、専業主婦世帯は458万世帯と圧倒的に多いのだから問題はないだろう」という人がいるかもしれません。
しかし、結婚生活後も未婚時代の年収をそのまま継続する夫婦ばかりかというとそうはなりません。実際、共働き世帯が増えているといっても、増えているのはパートタイム共働き夫婦世帯であり、実はフルタイム共働き世帯の数は1985年から35年以上もほぼ変わっていません。つまり、共働き夫婦が激増したといってもそれはほぼパート共働きの増加によるものです。