気軽に政治活動へ参加ができる

政治にもっと興味があれば、既に述べたように10代の頃から各政党の青少年部に所属して選挙活動の支援や政治の議論に参加することもできる。

政党に入るほどの意欲はなくても、NGOなどに参加して社会課題に関わることは頻繁に見られる。

私が大学に留学していた時も、日本のサークル活動のような気軽さで、政治政党の勉強会や活動に参加している人、国際的なNGO、動物愛護、人権擁護、環境保護、平和活動といったものから、子育て支援、高齢者ケアのボランティア活動に関わる人など、いろいろな人がいた。社会に参加するための活動は様々な形で存在しているのだ。

フィンランドでは国政の投票率が6~7割と高いが、その背景にはこうした市民教育・社会活動の文化があるというわけだ。

なお、国会議員の顔ぶれには、元介護士や教師、スポーツ選手など様々な職歴の人がいて、性的マイノリティー、移民など、背景も多様で、現役世代も多い。

人口が550万人と少ないので、身近に議員やインフルエンサーがいるという人は多い。同級生が政治家になることも珍しくない。二世議員も多くいるが、政治家の家系でなくても議員になった例をたくさん見ているし、若い20代、30代のうちに政界の要職に就いたり、インフルエンサーとして社会に影響を及ぼしたりできることも、多くの人が近くで見て知っている。自分たちの仲間が政治や社会を動かしていると感じられるのだ。

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同性婚合法化をもたらした国民発案制度

近年はネットやソーシャルメディアの活用もあり、どこかの団体に所属していなくとも一般市民が意思表示をしたり、ムーブメントを盛り上げたり、法制定に影響を与えることもできるようになった。例えば、フィンランドには2012年から施行された「国民のイニシアチブ(国民発案)」という制度がある。これは、国民の側が法改正や新たな法整備を望む場合、投票権を持つフィンランド人のうち5万人以上の署名を集めれば正式に政府へ提案することができ、しかも必ず審議されるという制度だ。法務省が公式ホームページを運営していて、そこには市民から出た数々の案が掲載され、署名を呼びかけている。

この制度によって立法されたのが同性婚の合法化だ。フィンランドでは、以前からパートナーシップ制度(同性カップルが関係性を公式なものとして登録し、互いの財産や相続に関する権利を得る仕組み)はあったが、同性婚は保守派の反対も根強かった。しかし2013年に全国的なキャンペーンが起こり、開始初日に10万人の署名が集まった。そして国会での審議を経て2015年に法案が成立、2017年に施行されている。

実際にこの制度で法案の成立に至るのは年間数件ほどだ。それでも、署名が一定数集まればメディアでも報道されるので、広く国民や政治家に社会問題として認知してもらうのに役立つ。