松浦氏が病院課MRの役割を説明する。

「私たち病院課の最終的な役割は、大学病院や地域基幹病院のドクターに処方箋へ当社のジェネリックの名前を書いてもらうことです。医局だけでなく、薬剤部などには、うるさいと思われるぐらい顔を出すように心がけています」

東京支店 病院課 リーダー 松浦正武
25カ所のDPC病院がターゲット。「ジェネリックと言わず、(CMの)高橋英樹のお薬をくださいという方もいます(笑)」。

DPC病院攻略も結局“足”というわけだが、ジェネリック医薬品への切り替えの意思決定は、理事長や院長、病院によっては薬剤部長が握っている。そのほかにも、病院全体の理解を深めるため、病院経営幹部説明会や医局説明会も実施できるように働きかけてきた。

そんな彼らをバックアップするのが、小澤秀行所長だ。戦略企画部の立ち上げにも関わったというミドルマネジメント。そんな小澤所長が懸念するのが、厚労省が打ち出した処方箋の変更と調剤報酬におけるインセンティブの中途半端さだ。

「果たして、サインという手間を省くだけで、医師がジェネリックを黙認するのかというと疑問です。また、ジェネリックを調剤した割合が30%以上の薬局には4点加算としていますが、4点、つまり40円のプラスでは、相談や説明に使う労力に対して十分とはいえない。もっと“アメとムチ”をハッキリさせたほうがいい」

彼らMRが苦労するのは、医療機関との折衝ばかりではない。病院や保険薬局では、新薬メーカーのMRとも鉢合わせする。国内新薬メーカーのMRは平均1500人で、ジェネリックメーカーは平均60人。圧倒的に新薬メーカーのMRが多く、医療機関との付き合いも長い。もともと、新薬メーカーのMRの質は高く、提供する情報や資料にも差があるというのが、医師や薬剤師の声でもある。

人数の少ないMR頼みだけでは新薬からの切り替えにも限界はある。

(小林 靖、熊谷武二、尾崎三朗=撮影)