がん診療経験のある医師であれば、誰にでも行える

しかし私には、個々の適量を求めることもなく、体表面積で一律に抗がん剤を投与する標準治療よりも、少量の抗がん剤でも、副作用が少なくて効果のある患者さんがいるのであれば、それを目指すことの方が医療本来の姿だ、と思えるのだ。

抗がん剤治療の専門家の皆様が日夜努力していることには敬意を表するけれど、標準治療としての抗がん剤治療の示すエビデンスは、「これぞ抗がん剤」と、胸を張って言えるほどのものとは思い難い。

ところで、三好医師は著書の中で「少量抗がん剤治療」は、副作用を出さないように治療していく方法であり、抗がん剤治療の専門家である必要はなく、がん診療に携わった経験のある医師であれば、誰にでも行える治療行為であると思う、とも書いている。この点もまた「がん共存療法」の条件の一つである「医師であれば誰でもできること」に近づいてくる。

少量なので自費診療でも実費は安く済む

費用についても触れておこう。三好医師の「少量抗がん剤治療」に使用される抗がん剤の量は、通常使用量の5分の1から20分の1であることは先述した通りだ。

三好医師は、長い経験から、必ずしも適応通りの(公的医療保険の使える)抗がん剤ではなくても、効果のあるがんがあることを実例を通して示しているが、その際には自費になってしまう。

写真=iStock.com/Bespalyi
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しかし、使用量が少ないので、自費診療であったとしても、抗がん剤にかかる実費もまた、通常使用量の5分の1(2割)から20分の1(5分)の計算になる。

公的医療保険を使う場合でも、基本的に抗がん剤にかかる費用の1割から3割の自己負担は求められるので、薬剤費だけを見れば、公的医療保険よりも、少ない自己負担で済む可能性もある。つまり、「少量抗がん剤治療」は費用面からも、「より多くの患者さんが受けられるような方法であること」という「がん共存療法」の条件に当てはまってくることが分かる。

ただ、実際は次のようなことも起こり得る。例えば、注射用抗がん剤の最小単位が1アンプル100mgであったとする。だが、少量抗がん剤治療として、その抗がん剤を20mgしか使わなかったとすれば、残薬は廃棄することになる。結果として、1アンプル分の自費請求になることもある、ということだ。しかし、これは止むを得ないことだろう。

ところで、私は「がん休眠療法」の生みの親である高橋医師をご紹介する中で、「がん休眠療法」が公的医療保険の対象になることを確認したが、それは高橋医師が、適応通りの抗がん剤のみを使用しているからであり、そこが三好医師との違いでもある。

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