太陽光発電を含む3つの技術は家づくりのマストアイテム

ここまで考えてみた結果として、「今後も電気代は値上がりしますか? どうすれば負担を避けられますか?」というお題への答えを考えてみましょう。

将来の電気代がどうなるか、正確に予測することは不可能です。しかし、現状の世界と日本の動きを鑑みれば、今後も長期的に電気代が上昇していく可能性は極めて高いと考えます。家を建てる時に、断熱・気密、高効率設備、そして太陽光発電の3つをしっかり備えておくことで、将来電気代で苦しむリスクを確実にヘッジすることができます。この3つの技術は長い時間をかけて確立されており、コストも低廉化されているので、今や家づくりのマストアイテムといえるでしょう。

見事に面白くもおかしくも新しくもない。SNSでも動画サイトでも、反響ゼロ間違いなしです。まあでも、専門家が真面目に責任を負える答えは、「食事は1日3回規則正しく栄養のバランスを」「将棋はまず三手の読みから」とか、ツマラナイけど忘れちゃイケナイ基本が一番になるものです。ぶっ飛び回答を期待していた人、ゴメンナサイ。

太陽光設置を「選択の自由」に任せることがベストとは限らない

最後に蛇足ですが、太陽光の義務化は必要なのか? 東京都の案はどうなのか? についてちょっとだけ考えておきます。

出典=経済産業省 資源エネルギー庁 固定価格買取制度情報公開用ウェブサイト

余剰電力の高値買取や補助金などの「誘導策」だけで十分に普及が進んでいるのであれば、わざわざ設置義務化なんかをする必要はありません。しかし現実には、太陽光発電の普及は停滞しています(図表7)。節電の恩恵を国民みんなに広げ、地域や日本の化石燃料削減・脱炭素につなげるためには、なんといっても普及が肝心。誘導策以上の普及策を考えないといけません。その一つが設置義務化なのです。

自由に建築を建てられることは素晴らしいことですが、ただ自由なだけでみんなが幸せになるとは限りません。住宅産業が自由気ままに家づくりを続けた結果、多くの人が寒さと貧しさに苦しんでいる現状を直視すべきです。「自由」と「平等」は往々にして両立しないものであり、何事もバランスが肝心です。

日本よりはるかに真剣に自由を考えているであろうアメリカやヨーロッパでも、太陽光発電の設置義務化が熱心に推進されているのですからね。義務化で普及が進めば、さらなる低コスト化も期待できます。

家を買う時、しっかり考える時間とお金の余裕がある人ばかりではないはず。大事なことは義務化しておけば、「何も考えずに家を買ったけど、知らないうちに断熱とか高効率設備とか太陽光発電がついていたので、冬もあったかくて電気代も安くて、助かったよ~」と救われる人も出てくるはずです。

東京都の条例案は真剣な議論に値する

では、東京都の太陽光義務化案に関する、筆者の回答です。

太陽光発電は国や地域の脱炭素化への貢献はもとより、住まい手にとっても経済的メリットが非常に大きいにもかかわらず、現状普及が停滞しています。その恩恵を広げるためにも、アメリカでもヨーロッパでも推進されている設置の義務化は、検討の価値が大いにあります。設置義務化により、家づくりに時間とお金をかけられないお施主さんも、太陽光の恩恵を確実に受けられるようになります。

今回の東京都の案は義務化に伴う問題を慎重に検討されており、義務も個人ではなくハウスメーカーが負うなど丁寧に設計されており、真剣な議論に値します。残る課題があるにしても、行政・建設業者・住民の英知により、順次解決していけるものと信じます。東京都の取り組みが日本全国に広がり、国民みんなが電気代の心配なく暮らせる時代が来ることを心から願います。

お粗末様でした。

<補記>
住宅の省エネに関しては、「住宅・建築物の脱炭素サイト」でも情報を掲載しています。「太陽光発電のついての一考察」もご参照いただければ幸いです。
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