科学的に「どちらを選べばよいか」がわかる

でも、その判断をする際、統計学の知恵があると、事前にさまざまな対策を練ることができます。

たとえば、書籍を発行する場合、タイトルをAにするか、Bにするかは、出版社なら迷うところでしょう。現実には、いったんAのタイトルで出版しておき、「全然売れない……このタイトルは失敗だった!」と思ったときにBのタイトルで出し直す――そんなことはできません(他社が文庫化するときなどは別です)。

それを事前に、科学的に、そして手軽に「どちらがよいか」がわかる方法が、統計学にはあるのです。その方法によって生み出されたデータは、「エビデンス(根拠)」と呼ばれています。

2021年の一時期、「GO TOトラベルによって新型コロナの陽性者が増えたというエビデンスはない!」という言葉が国会で盛り上がりましたが、その「エビデンス」も同じですね(しかし、この「エビデンスはない」という使い方は非常に危ないなと感じました。エビデンスが出てきてからでは遅すぎますから、悪い結果につながることは、相関関係を見て早めに(事前に)対処すべきだと思っていました)。

エビデンスを活用できれば話の「説得力」が増す

もともと、エビデンスは医療業界で使われてきた言葉ですが、いまやビジネスはもちろん、あらゆる分野で何かの決断・判断をするとき、必須の条件として求められています。

本丸諒『グラフとクイズで見えなかった世界が見えてくる すごい統計学』(飛鳥新社)

このエビデンスを理解でき、使えるようになれば、さまざまなシーンであなたの話す内容に「説得力」を増すことができるんです。

どの判断がよく、どの判断が間違いかは誰にもわからない――これは未来を知ることができない人間にとって、間違いのない事実です。しかし、統計学を身につけることで、根拠(エビデンス)をもたない判断を避けることができますし、どのようにすればエビデンスを得ることができるのか、それを知ることはあなたにとって重要な資質になります。

統計学はその意味で、生活や仕事においてとても役に立つ「実戦的な武器」なのです。

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