読書量と年収は比例すると思っている人

たまに書籍やネットの情報で見かけるのが「年収が高い人はたくさん本を読む。逆に年収が低い人はぜんぜん本を読まない。だから本をたくさん読んで年収を上げよう」みたいなロジックです。

写真=iStock.com/patpitchaya
※写真はイメージです

いやこれ、おかしいですよね。たしかに、さまざまな調査データなどでは「年収が高い人は本をよく読む」というのがあるかもしれません。でもそれって、どっちが原因で、どっちが結果なのかはわからないわけです。

つまり、たくさん本を読んでいるから年収が上がったわけではなくて、そもそも年収が高い人はお金に余裕があるから、本をたくさん買って読める……というだけかもしれないわけです。

だいたい、読書量と年収が比例関係にあるのだとすれば、古典とか漢文とかを研究している人のほうが、商社マンとか金融マンよりも年収が高くなるはずです。

でも、そんなことはありませんよね。大学の先生の年収はそんなに高くありませんから。これは別に読書に限った話ではなくて、「年収が高い人は○○をしている」「長寿の人は○○を食べている」というようなロジックは、鵜呑みにせず、疑ってかかったほうがいいでしょう。収入が多くなるとか、長生きするとかは、もっといろいろな要素が複雑に絡み合った結果だと思いますよ。

こういうロジックを使う人は、いかにも説得力がありそうな調査データとかを使ってきますが、データをいくら見ても、その因果関係まではわからないはずです。というか、本を読む目的が年収アップのため、というのは、発想が貧相というか、切ないですよね。

関連記事
【第1回】論破王ひろゆき「若い人が選挙に行っても政治は変えられない」
論理やメンタルが強いからではない…ひろゆきが次々と相手を論破するために使っている"あるスキル"
なぜ子どもの自殺が「過去最悪」となっているのか…「遊びの喪失」がもたらす深刻な影響
臨床心理士が警鐘「叱らずに、ほめましょう」という風潮に潜む大問題
「お金持ちだからではない」頭のいい子が育つ家庭に共通する"幼児期のある習慣"