合言葉は「幼稚園児のように学び、発言しよう」

――(前編で)「舌にピアス」をしていたジャニーズ好きの女子生徒も国公立大学に合格したことをお聞きしましたが、最初は勉強アレルギーのような症状も出たのでしょうか。

まずは、間違ったものを書いたらどうしようとか、間違ったらどうしようという気持ちを取り除くことが一番大事かなと思いますね。うちの高校では「幼稚園児のように学ぼう」という話をします。授業中、誰も手を挙げない、自分の考えを言わないという状況では絶対に伸びない。みんなが、幼稚園児のように思ったことを発言し、活発的なディスカッションをしながら学んでいこうという意味ですね。小論文講座だけでなく、普通の授業でも行っています。

写真=学校提供

――「幼稚園児のように学び、発言しよう」。いいですね。そうしたディスカッションを経て、生徒が書いた小論文の出来はいかがでしたか。

論文を書いたら、最初は書いたこと自体を褒めます。自分の視点が入っていたらOK。1回文章を持ってきてくれたら、「この1カ所だけ直してみたら」って言うくらいです。長期的には“考える習慣”を身に付けることが目的なので、良くないところは指摘せず、意見の中の面白いところを話すようにします。

ある程度、書くことに慣れてきたら、合格ラインまで文章の完成度を上げていかないといけないので、その後に「ここを変えよう」とか、「こういう要素が必要だよね」とか課題となる部分を指摘していきます。

小論文の受験勉強の中で、一番大事なのは自分の意見をアウトプットすることだと思います。だれかの考えを押し付けるのでは楽しさが出てこないので、続かない。アウトプットを続けていると、だんだん自分の意見を持つようになってくる。

あと、やっぱり集団の力の効果は大きいです。ある程度の人数で合格に向かって走り始めると面白くなってくる。一人でやるのはきついと思います。

写真=学校提供
小論文ノート

――日本の大学入試が変わってきています。思考力・判断力・表現力が入試でも重視されるようになっていますが、書く力も重視されていると感じていますか?

大事になっていくと思います。知識とか、従来のペーパーテストだけで測る知識ではなく、欧米でやっているように、自分がどう思うといった考えを文章や口頭で発信することが日本の入試でも重要になってくるんではないかと思います。

こういった自分の考えを文章で表現するスキルは、大学に入ってからでも社会に出てからでも通用すると思うので、高校の段階で身に付けておくといいと思っています。

考える習慣って本当に難しいと思うんですけど、家庭でも親御さんたちに小中高のお子さんに「なんでそう思うのか?」を聞いてほしいなと思います。家で文章を書くのは難しいと思うのですが、まずは日常の会話の中で考える力が身に付けられたらいいなと思います。

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