雑談は「人間関係構築のために大事」という研究論文

——確かに。「教えて」と言われてよく考えてみると、自分でもあまりわかってないことに気づくこともありますね。

そうなんですよね。ところで、職場の雰囲気はいかがですか? 風通しがよい職場ですか?

——どちらかというと、みんな、必要以上のことは話さない、クールな雰囲気ですね。

明るくコミュニケーションが活発な職場は、本質的な議論がしやすく、生産性も上がる、というエビデンスがあるんです。

——でもなあ、私がどうこうしたところで明るい雰囲気の職場に変えられる自信はないかも……。

簡単ですよ。普段から日常的にコミュニケーションに雑談を取り入れるだけです。コーネル大学のハンス氏とデューク大学のヴィドマー氏のアメリカ陪審員の研究においても、雑談の重要性を認めています。

『もう無理、と思ったらやってみて モヤモヤ・クヨクヨを手放す科学的に証明された方法』(小学館

——アメリカの陪審員制度と聞くと、とても堅苦しいイメージですが?

研究によると、事件の議論はトイレで挨拶を交わした瞬間から始まると言います。そこでどんな会話をしたかによって、その後の議論の内容が変わっていくと言われるほど、雑談は人間関係を構築するために大事なのだと研究論文で述べられています。

——雑談ですか……。でも何を話せばいいんでしょうか。

天気やスポーツ、映画や音楽、話題の芸能人の話、仕事に関係するような時事ネタなどなんでもいいんです。くだけた話題を先輩からすることによって、コミュニケーションが活発になって、本来の業務の質も向上していくはずです。

——雑談のラリーを続けられるように、仕事そっちのけで話が弾み過ぎないような、よさげな話題を常に拾うようにしてみます。

雑談して人間関係を構築しながら、後輩によきアドバイスをしてあげてください。

手放し方
・「教える」ことは自分にもメリットあり。職場の風通しには雑談を                            ワシントン大学セントルイス校のネストイコ氏ら/コーネル大学のハンス氏とデューク大学のヴィドマー氏